「一回やってみないと」 普通の会社員が在宅勤務を目指す不安と願い


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「介護をしながら働けるような社会になってほしい」と話す照屋潤子さん(本人提供)

 県内で介護や看護のために離職者が増える中、仕事と介護を両立させようとしている女性がいる。

 会社員の照屋潤子さん(49)=浦添市=は、在宅勤務に切り替えて介護と仕事の両立を目指す。「介護をしながら働けるような社会になってほしい」と話し、労働環境や社会福祉の充実を求めた。

 照屋さんの母(79)は昨年4月に脳梗塞を発症し、右半身にまひを追った。現在は介護老人保健施設に入所している。

 姉は看護師で忙しく、妹は県外に家庭があるため、照屋さんが中心となって母の介護をしているという。

 「家に帰りたい」と思う母の気持ちを尊重し、照屋さんは昨年11月以降、施設や地域の介護支援専門員と相談しながら自宅で世話できる環境を整えてきた。

 介護休業制度の利用を考えたが、「いつまで介護が続くか先が見えず、会社に悪い」と思い、離職も考えた。だが、家庭を支えるために踏みとどまったという。

 会社に相談したところ、「空いた時間でいいから」と、週6日、1日6時間を条件に在宅勤務を勧められたという。5月下旬から在宅勤務を始め、現在は母を迎え入れる準備を進めている。

 介護と仕事の両立について「介護のプロではないし、忙しいと目が行き届かないかもしれない。でも、一回やってみないと分からない」と不安ながらも前向きに語った。

 照屋さんの周りには介護のために仕事を辞めた同級生も多いという。新型コロナウイルス感染拡大を受けて在宅勤務が定着する中、照屋さんは「介護をしながら家で仕事ができるのは、これから必要ではないか」と話す。

 在宅介護には、職場と社会の双方の支援が欠かせない。照屋さんは「もっといろんな会社で体制作りをしてほしい。利用できる福祉サービスや手続きの方法、同じ介護者が情報や悩みを共有できる場がほしい」と社会福祉の充実を求めた。

 各自治体の地域包括支援センターでは、高齢者の介護や福祉制度に詳しい社会福祉士や介護支援専門員が相談に応じている。
 (比嘉璃子)