難病から復帰のキングス岸本「あれを経験したら何でもない」 ブザービーター悠々と


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琉球―渋谷 第4Q、ドリブルで守備を突破し得点を狙う琉球の岸本隆一=21日、沖縄市体育館(大城直也撮影)

Bリーグ1部公開練習試合 キングス83-76渋谷(沖縄市体育館)

 勝負強さピカ一のキングスのクラッチシューターは健在だ。オフシーズンに指定難病を患った岸本隆一。闘病を乗り越え「あれを経験したら、試合のアップダウンなんて何でもない」。腹をくくったエースが、強心臓に磨きを掛けてコートに戻ってきた。

 最大23点差を一気に詰められ、迎えた第3クオーター残り数秒。スリーポイントライン外側の右45度でボールを持った岸本が、2メートルを超える相手選手を前にブザービーターを悠々と沈め、流れを引き戻した。ベンチを飛び出し、たたえる仲間たち。シーズン前でも「緊張感を持って戦えた」と高い集中力を発揮した。

 初めに体の異変を感じたのは3月。下血や頭痛などの症状が現れ、4月上旬に受診すると、診断名は潰瘍性大腸炎。「最初聞いた時は動揺した」。初めて耳にする病名で先行きも見通せない。「このままもうバスケはできないのかな」。激しい心の波と戦った。

 薬物治療で症状は治まり、10日ほどで退院し「すぐに前を向けた」。回復後は「相手をいなすくらいの余裕を持ってる」と増した心の強さがプレーにも好影響を与えている。キングス一筋、チーム最長となる9年目が今季も先頭でチームを引っ張る。
 (長嶺真輝)