多良間の豊年祭で「手始め御願」 今年は神事のみ 祈願祭では親子の舞も


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舞を披露する桃原司至さん=10日、多良間村

 【多良間】国の重要無形民俗文化財に指定されている多良間島の豊年祭「八月踊り」に向けて稽古を開始する「手始め御願(てぃぱずみうがん)」が10日、多良間村字仲筋の土原ウガンと字塩川のピトゥマタウガンで行われた。八月踊りは例年、旧暦8月8日から3日間かけて行われるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため奉納余興などは中止し、神事のみ執り行う。

 10日、塩川では午後5時半ごろから字の役員や中老、演者などが集まり祈願祭を開いた。地謡座(ズーニン)によるさんびん演奏や長寿の大主などが披露された。

 長寿の大主で、息子の司至さん(中3)と最初で最後の親子共演をした桃原薫さんは「息子と一緒に踊れて感慨深く、息子の成長をうれしく思った」と満足そうに話した。司至さんは「コロナで奉納余興が中止になったのは残念だが、親子共演ができたことはうれしい」と語った。

 奉納余興が中止にならなければ本番の舞台に立つ予定だった中学3年の久志舞香さんによる「女踊り」と、司至さん、石原優斗さんの「若衆踊り」も披露され、会場は大いに沸いた。

 塩川の友利哲市会長は「余興は中止になったが重要なのは神事だ。手始め御願に正日御願、ワカレ御願は例年通り行う。今年は我慢して来年は盛大にできることを願っている」と話した。
 (清村めぐみ通信員)