社会
沖縄からSDGs

つくる責任 つかう責任【SDGsって? 知ろう話そう世界の未来】12


 私たちは物を作り、消費しながら生活している。しかし使いすぎれば資源は枯渇し、適切に処理しない廃棄物は人間や他の生物が暮らす環境を汚染する。経済成長と持続可能性を両立させるには、生産や消費の仕組みを変えて環境への負荷を軽減していくことが必要だ。
 SDGs(持続可能な開発目標)のゴール12は「つくる責任、つかう責任」。離島県の沖縄は特に、資源の効率的な使い方や廃棄物の減量は重要なテーマとなる。廃棄物を資源として使う再利用や、資源のもととなる回収を進める事例を紹介する。



古紙回収で商品券

サンエー「えこすぽっと」

 廃棄物もお金に換えられれば回収も進む。県内大手スーパーのサンエー(宜野湾市)は買い物ついでに持ち込んだ古紙に、重さに応じてポイントを付与し、商品券に交換できる「えこすぽっと」を本島中南部の15店舗に設置している。

 扱うのは新聞紙や雑誌などの紙類。駐車場の端にある回収ボックスに束を投入すると、自動的に重さが計量され、1キロにつき1ポイントが専用カードにたまる。500ポイントたまると500円分のサンエー商品券に交換できる。

 この回収システムは古紙リサイクル業の明和製紙原料(大阪市)が設置・運営し、ポイントと交換する商品券も同社が購入する。全国で先駆けてこのシステムを始め、地域のスーパーと提携して大阪府、岡山県などで事業展開している。サンエーは場所を貸し、顧客の問い合わせに対応するなど「循環型社会への貢献」と位置付けている。


サンエーの「えこすぽっと」。右側の回収箱に古紙を入れると、左側にあるATMのような機械でポイントが登録される。たまると商品券に交換できる=浦添市の「経塚シティ」

 サンエーでの回収量は2店舗でスタートした2005年の約800トンから19年度には15店舗で4千トンに伸びた。明和製紙原料の駒津慎社長は「どこでも設置直後は回収量が多くなるが、その後も維持・増加するのは沖縄の特徴。県民はエコ意識が高い」と話す。

 サンエー「経塚シティ」(浦添市)の回収場所では13日、古紙を持ち込む人たちの車が次々と止まった。市内に住む夫婦は2~3カ月に1度、新聞紙や雑誌を持参するという。妻(65)は「自宅前での回収は天気が悪いと出せない。ここならいつでも持ってこられるしポイントもたまる」と気に入っている。夫(70)は「通販の段ボールがすぐに増える。段ボールも回収してほしいなあ」。売り手、買い手が満足して社会も良くなる“三方よし”で、回収箱の古紙はどんどん増えていった。

(黒田華)




蒸留粕を有効活用

もろみ酢

 健康飲料として多くの人に愛飲されている「琉球もろみ酢」は、泡盛を造る際に生じる蒸留粕(かす)を有効利用して造られている。黒麹(こうじ)菌の恵みによる優れた栄養成分で、沖縄ブランドの健康食品の主力として全国にファンが多い。

 泡盛の原料のタイ米に黒麹菌を繁殖させた米麹に、水と酵母を混ぜ合わせて発酵液のもろみを造る。もろみを蒸留した後に残った粕を圧搾、ろ過、殺菌したのがもろみ酢だ。黒麹菌が生成した大量のクエン酸が溶け込んでいて、アミノ酸も多く含まれている。

 蒸留粕は、泡盛製造に使用するタイ米の約2倍の量が発生するという。昔から一部は農作物の肥料や豚の飼料として使われていたが、廃棄処分されることも多かった。


泡盛を蒸留した際に発生する蒸留粕を利用して作る「琉球もろみ酢」を紹介する石川酒造場の大城俊男社長(左)と上間長亮製造部課長=西原町小那覇の石川酒造場

 製品化されたのは1973年、石川酒造場の当時の社長石川信夫氏が、蒸留粕を食べている豚が元気で肉質も良いことに着目し、「もろみ酸」という商品名で売り出した。同社の上間長亮製造部課長は「効果を体感してリピーターになる人が多い」と話す。同社では年間で平均40万本を出荷するという。

 もろみ酢は2001年ごろから一大ブームを巻き起こし、知名度も全国区となった。同時に、人為的にクエン酸を追加した安価な製品も出回った。県内の酒造メーカー12社が加盟する琉球もろみ酢事業協同組合は、地域の食品などをブランドとして保護する地理的表示(GI)保護制度への登録に乗り出し、2017年に琉球もろみ酢が県産品として初めて登録された。

 同組合の石川悟指導部長は「蒸留粕はまだ廃棄されることが多い。GIを活用したブランド化を進めて琉球もろみ酢がもっと売れるようになれば、粕が有効活用されてより環境に良い循環ができる」と話した。

(沖田有吾)




県の廃棄物対策



 県の「廃棄物対策の概要」(2019年12月)によると、県内の事業所や家庭から出るごみ(一般廃棄物)の総排出量は、統計を取り始めた1969年以降は30万トン台だったが80年代後半から増加。分別収集や有料ごみ袋の導入で99年度の51万2千トンをピークに減少してきたが、観光客増もありここ10年ほどは微増傾向。県内のリサイクル率は増えつつあるが、17年度は15.3%で全国より約5ポイント低い。県の担当者は「県民の意識が変わると数字も変わる」と指摘。県ではリサイクル(再利用)に加えて、長く使って廃棄物を減らす(リデュース)、何度も使う(リユース)も呼び掛けている。



SDGsとは…
さまざまな課題、みんなの力で解決すること


 気候変動、貧困に不平等。「このままでは地球が危ない」という危機感から、世界が直面しているさまざまな課題を、世界中のみんなの力で解決していこうと2015年、国連で持続可能な開発目標(SDGs)が決められた。世界中が2030年の目標達成へ取り組んでいく。

 「持続可能な開発」とは、資源を使い尽くしたり環境を破壊したりせず、今の生活をよりよい状態にしていくこと。他者を思いやり、環境を大切にする取り組みだ。たくさんある課題を「貧困」「教育」「安全な水」など17に整理し、それぞれ目標を立てている。

 大切なテーマは「誰一人取り残さない」。誰かを無視したり犠牲にしたりすることなく、どの国・地域の人も、子どももお年寄りも、どんな性の人も、全ての人が大切にされるよう世界を変革しようとしている。

 やるのは新しいことだけではない。例えば物を大切に長く使うこと。話し合って地域のことを決めること。これまでも大切にしてきたことがたくさんある。視線を未来に向け、日常を見直すことがSDGs達成への第一歩になる。





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