下顎ない新種サヨリ、インドネシアで発見 琉大院生の研究チームが世界初


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(上)今回発見された、下顎のないサヨリの新種ノモランファス・エニグマ(下)新種の近くで発見された近縁種のノモランファス・レックス(琉球大学提供)

 琉球大学は23日、理工学研究科の大学院生小林大純さんらの研究チームが、下顎が完全に退化した新種のコモチサヨリをインドネシアで発見したと発表した。サヨリの仲間は下顎が長く伸びることが特徴だが、新種は成長段階を通じて全く顎が伸びない珍種で、世界初の発見。サヨリの顎が伸びる理由は不明で、新種が長年の謎を解く鍵となりそうだ。

 新種は卵を体内で育てて稚魚を産むコモチサヨリ科のうち、河川や湖に適応したノモランファス属の仲間。小林さんらは「ノモランファス・エニグマ」(謎のノモランファス)と名付けた。研究成果は米国の学術雑誌「Copeia」に掲載される。

 海にすむサヨリにも下顎のない種がいるが、多くは幼魚の間は長い下顎があり、成魚になると脱落することが確認されている。新種は生まれた直後から成魚に至るまで一度も下顎が伸びない。

 新種が見つかったインドネシアのスラウェシ島は、これまでも進化学的に重要な発見があった。小林さんらは「まだこんなぶっ飛んだ生き物を隠していたのかと驚いている。最初に網に入った個体を見たときは、あまりに冗談みたいな風貌から、その場でただ笑ってしまった」と回顧する。「さらなる探検と研究を進めることで、自然からの“謎掛け”に耳を傾けたい」とコメントした。