沖縄振興交付金の活用は「選択と集中を」 振興審部会が中間案審議


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これまでの沖縄振興の課題や現状を話し合う沖縄振興審議会総合部会専門委員会の委員ら=23日、那覇市の八汐荘

 現行の沖縄振興計画が2021年度末で期限切れを迎えることから、沖縄振興の現状や課題を検証する沖縄振興審議会総合部会専門委員会は23日、第16回会合を那覇市の八汐荘で開き、中間報告案を審議した。報告案では全国自治体では社会保障費の増大に伴い十分な予算確保が難しい状況にあるとして、沖縄の特殊事情や振興策の効果、費用対効果を具体的・客観的に示すなどして国民への説明責任を果たす必要があると指摘した。沖縄振興の一環で設置されている沖縄振興開発金融公庫は引き続き地域の政策金融機能を発揮するため、存続が必要とした。

 沖縄振興特別交付金(一括交付金)のソフト交付金は、一部事業は中止が困難とするものの、費用対効果を検証し、「選択と集中」が図られる余地があると指摘。ハード交付金の活用は維持管理・更新を見据えた検討が必要とした。

 一方、これまでの沖縄振興策で、入域観光客数といった「量」は一定の成果を上げたとした。今後は民間が質の向上を先導した上で、行政は環境整備の後方支援に徹するなどの役割分担が必要と指摘した。

 沖縄振興審議会会長の高橋進氏(日本総合研究所チェアマン・エメリタス)は「新型コロナウイルスの影響で構造変化が起きてくる。それを見据えた政策が必要だ。遅れている代表例がデジタル化だ。沖縄は全国で一番、デジタル実証実験がやりやすい地域とアピールするやり方もある」と提言した。中間報告は10月下旬に沖縄振興審議会に報告する。