中城村が中3に無料塾 休校での遅れ解消、進学の夢支援<コロナに負けず 地域にエール⑦>


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無料塾で運営スタッフの指導を受けながら、テスト勉強に励む中学3年生=24日午後5時半すぎ、中城村立中城中学校

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で学校が一時休校となったことは、高校受験を控える中学3年生にとって学習の遅れに不安をもたらした。その不安を解消しコロナ禍の経済負担を軽減するため、中城村は地方創生臨時交付金を活用し、中3生を対象に無料塾の開講や塾費用を補助する施策を打ち出した。

 中城村立中城中学校内の一室で放課後に開かれる無料塾。28、29日の中間テストに向け、生徒が理科や数学、英語などの課題に黙々と取り組んでいた。分からない部分は運営スタッフに質問し、マンツーマンで指導を受ける。

 村教育委員会がNPO法人エンカレッジに委託し14日から始め、23日現在15人の申し込みがある。今後5人増え、20人程度になる見通しだ。月、火、木の週3日、午後4時半から午後6時半まで。開催場所は中城中だが、村内在住なら他校でも参加は可能だ。

 友人の紹介で参加した中城中3年の與那嶺星(あかり)さん(14)は休校中、配られた教科書や課題はあったが「どこの範囲を勉強したらいいのか分からず不安だった」と振り返る。親の送迎なく通える無料塾に「助かっている」と感謝した。

 村内では県事業で、要保護世帯や生活保護に準ずる準要保護世帯の生徒ら向け無料塾もあるが、村の無料塾はその対象とならない生徒の受け皿にもなっている。県事業も担うエンカレッジの渡辺かおりさん(50)は「伸びる子が、学習環境がないことで伸びないこともある。学力を底上げする試みは生徒の助けになる」と述べた。

 また村は8月から来年3月まで塾に通う中3生を対象に、月額1人当たり上限1万円まで補助する。対象は244人を見込む。塾に複数の子どもが通う30代の保護者は「金額が大きいので助かる」と評価。一方、同じく休校のあおりを受けた中1、2年の保護者からは「ほかの学年も学習が遅れ、支援を拡充して」との声も上がる。

 中3への学習支援は村議会6月定例会で、比嘉麻乃議員の質問がきっかけとなった。9月定例会で比嘉良治教育長は比嘉議員の質問に「学びの保障の一つとして、子どもたちの夢実現を支援したい」と意義を強調した。学習支援事業の問い合わせは村教委(電話)098(895)3276。

 (金良孝矢)


中学3年生学習支援事業

【内容】中3の受験生を応援。塾に通っていない生徒には無料塾を開講し、既に塾に通う生徒には1人1カ月上限1万円の費用を補助する
【期間】無料塾は9月14日から来年3月の高校受験まで。塾の費用補助は8月1日から来年3月31日まで
【対象】村内在住の中学3年生
【事業費】無料塾は242万4千円、塾の補助は1520万円