コーヒーや焼きそばパン、深川めしも不定期で 宮城島に「幸福呼ぶ」移動パーラー稼働


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宮城島を拠点にオープンした「移動パーラーさがりばな」=9月、うるま市の宮城島

 【宮城島=うるま市】大好きな島で食を通して起業する―。地域おこし協力隊としてうるま市の宮城島で3年間活動した藤澤利紗さん(43)が、島を拠点に移動パーラーを始動させた。昨年10月の任期満了後、宮城島の古民家に移り住み、パーラーに使用する車両の改造に着手。

 藤澤さんの使い心地を最優先に、100パーセント島人の手作りで内装が完成した。屋号は「移動パーラーさがりばな」。金曜日を中心に週1~2回、宮城島の周辺で出店している。

 メインのメニューはコーヒーとモクテル(ノンアルコールカクテル)。コーヒーはうるま市で営業する珈琲豆焙煎工房グッドカンパニーの「うるまうんてん」を仕入れ、提供している。

 数種類あるモクテルは、多くの人にうるま市を覚えてもらおうとネーミングにこだわった。美しい海を連想させる「うるまブルー」、東海岸ならではの「うるまサンライズ」、闘牛の勇ましさを表現した「うるまタドール」。どれも色鮮やかで爽やかな一杯として好評だ。軽食は、焼きそばパンの他に、藤澤さんの地元、東京の郷土料理としても知られる「深川めし」も不定期で登場する。「将来的には、移動パーラーを通して観光客と島んちゅのパイプ役になれれば」と話す藤澤さん。汗を拭きながらアイスコーヒーを堪能する住民の1人は「今日はどこにいるのかな、と車を探すのも楽しい」と笑みがこぼれた。

プレオープンでお祝いに駆け付けた島の人々と藤澤利紗さん(後列右から3人目)=7月、うるま市の宮城島

 さがりばなの花言葉は“幸福が訪れる”。店主の思いを乗せて、世界に一つだけの移動パーラーは今日も島のどこかを走る。

(石川優子通信員)