文化・芸術の灯、絶やさず 教室の運営者に5万円 八重瀬町<コロナに負けず 地域にエール⑧>


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町内の文化芸術関連教室の運営者に「ぜひ相談してほしい」と呼び掛ける屋嘉比健作さん=16日、八重瀬町具志頭の町立具志頭歴史民俗資料館

 各字ごとに十五夜や綱引き、獅子舞などの伝統芸能が盛んな八重瀬町。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で軒並み中止や規模縮小となった。町教育委員会・文化振興係主査の屋嘉比健作さん(37)は先祖代々継承されてきた、町独自の文化や芸能がコロナ禍を機に途絶えないかと危惧した。その継承の一助になればと、町は「町文化芸術関連教室等に対する新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金支給事業」を開始した。文化芸術を幅広く捉え、町内にある琉舞や三線の教室だけでなく、書道や絵画教室なども対象とした。今後も想定外の教室から相談があれば「柔軟に対応したい」と語る。

 同事業は県が緊急事態宣言期間中に休業した事業所に最大20万円を支給する「うちなーんちゅ応援プロジェクト」をモデルとした。4月24~5月6日の緊急事態宣言期間中に休業した町内の文化芸術関連教室を対象に感染拡大防止の協力金として、運営者1人に5万円を支給する。

 町文化協会所属の三線、太鼓などの琉球芸能関連事業所は38教室ほどあり、これにピアノ、書道などを加えると約50教室が支給の対象になると町は見込んでいる。地方創生臨時交付金を活用し、総事業費は250万円。8月17日から申請受け付けを開始し、23日現在、ピアノ、三線、華道などの教室から15件の申請があった。

 「5万円は足りないかもしれないが、できるだけ教室を継続させてほしい。それがひいては町の文化振興にもつながる」と屋嘉比さん。自身も18歳から三線を始め今年で19年。「僕も三線をやっている。だからこそ今回の事業を琉球芸能だけに特化したくなかった」と力を込める。文化芸術に携わる“人”を少しでも支えたいという強い思いの背景には「文化は人です。これは大事な点。やる人がいないと途絶えてしまう」と、人一倍熱い思いがある。

 同事業の申請期限は12月11日まで。屋嘉比さんは「できるだけ広く、多くの人を対象にしたい。まずは電話で相談してほしい」と呼び掛けた。問い合わせは町教育委員会生涯学習文化課(電話)098(835)7500。

 (照屋大哲)


八重瀬町感染症拡大防止協力金事業

 【内容】町内のピアノ、ギター、琉球舞踊、空手、書道、絵画などの各「文化芸術関連教室」の運営者を対象に5万円を支給。
 【期間】12月11日までに町立具志頭歴史民俗資料館内にある町教育委員会生涯学習文化課の窓口へ申請書類を持参か郵送(消印有効)。
 【事業費】250万円