首里城正殿の大龍柱、正面向きは否定 高良氏「説得力ある資料ない」


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高良倉吉氏

 昨年10月の首里城火災を受けて議論が起きている大龍柱の向きについて「首里城復元に向けた技術検討委員会」の高良倉吉委員長は25日、向かい合うことを決めた際に根拠となった資料以上に説得力ある資料や知見がないと変更はできないとの認識を示した。大龍柱の向きについては市民団体が明治や大正に撮影された写真などを根拠に正面に向かせることを求め、那覇市議会などに陳情している。

 高良委員長は1879年の「琉球処分」(琉球併合)に伴い、首里城は熊本鎮台沖縄分遣隊の兵営となって施設の改変が行われ、その経緯を踏まえた検討を求めた。同日の検討委でも経緯を説明したが、異論は出なかったという。高良委員長は前回の再建にも関わった。その際は「百浦添御殿普請付御絵図并御材木寸法記」(寸法記、1768年)と「拝殿図」のほか、首里王府の公式記録の尚家文書4冊を活用した。首里城に関する資料の多くは沖縄戦で焼失している。