保守系候補分裂の衆院沖縄1区、一本化へ火花 自民県連は国場氏、経済界は下地氏


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 菅政権が発足し、年内の衆院解散総選挙の可能性が浮上する中、国場幸之助氏=自民=と下地幹郎氏=無所属=による保守分裂が続く衆院沖縄1区を巡り、建設業界を中心とする県内の経済界有志が候補者一本化を求めて自民党県連への働き掛けを強めている。しかし、県連にとって1区支部長を務める国場氏の擁立は「既定路線」。無所属の下地氏との候補者調整を突き上げられていることに、1区支部内には経済界の動きへの反発も広がる。

 「2年後の知事選を見据え保守中道勢力が大同団結しなければ勝てない」。23日、那覇市内のホテルで行われた自民県連役員7人と経済界の有志12人による意見交換会で、国場組の国場幸一会長は出席者を前に候補者一本化の必要性を強調した。

 沖縄1区は直近2回の選挙で、辺野古新基地建設反対で一致する「オール沖縄」勢力の統一候補である赤嶺政賢氏=共産=が連勝している。保守系共倒れの形となった国場、下地氏は比例で復活当選してきた。会合で具体的な候補者名が出ることはなかったというが、幸一氏を含む経済界側の念頭にあるのは下地氏だ。下地氏は建設業界に影響力があり、菅義偉首相とも関係が深い。だが、今年はじめの日本維新の会除名で比例復活がない無所属となり、次の改選で議席の維持が危ぶまれる。

 幸一氏は23日の会合以外でも、下地氏の実兄で大米建設の下地米蔵会長や儀間光男元参院議員らと共に自民関係者と面談し、保守中道勢力の団結の必要性を精力的に説いて回っている。こうした一連の動きは、下地氏の自民復党に向けた布石とみられている。

 下地氏は1996年の衆院選で、菅首相と同じく自民党公認候補として初当選した。浪人中の2005年、前年の参院選で党公認候補を支援しなかったことなどを理由に「離党勧告」処分を受け、自民党を離党した経験を持つ。その後、国民新党や維新などを渡り歩いてきた。県連関係者によると、下地氏が「復党願」を提出すれば自民党に戻れる可能性もあるという。ただ、下地氏自身は復党の意思を示しておらず、県連内には否定的な声も根強い。党本部関係者も維新を除名された経緯を踏まえ、「入る道理がない」と一蹴する。

 2年後の県知事選や衆院選での保守中道勢力による連携の必要性については、経済界、自民県連とも一致している。経済界からは「経済界にとって国場氏と下地氏の2人とも必要な人材だ。比例区と選挙区を交互に出馬するコスタリカ方式を採用するなど、やり方はある」として、共倒れの回避へ自民党県連に主導的な役割を求める声が聞こえてくる。

 (吉田健一)