地元の魅力 再発見 海のレジャー 講習や補助 宜野湾美ら海体験・PR事業 もとぶ再発見魅力発信事業<コロナに負けず 地域にエール⑨>


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宜野湾市沖に広がるミドリイシなどのサンゴを確認するダイバーら=24日、宜野湾市大山の沖合

 沖縄を観光立県にしている要因は、色とりどりのサンゴや魚などが生息する海の存在が大きい。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で観光客は激減し、海周辺から例年のにぎわいが消えた。そこで宜野湾市や本部町が地方創生臨時交付金を活用して考えた施策は、地元住民が普段体験しないマリンレジャーなどを通して魅力を再発見し、情報発信や環境保全に取り組んでもらう事業だ。

 宜野湾市は、市民らが無料で地元の海に潜る活動を実施している。8月12日に市ホームページ(HP)などで受け付けを開始すると、翌13日に定員50人に達する人気ぶり。9月まで、初心者でも潜れるようダイビング講習を実施している。参加者は10月からサンゴを植え付ける。会員制交流サイト(SNS)などで情報発信して宜野湾の海をPRする。市内で飲食店を営む宮國恵将さん(46)は24日、講習で初めて海に潜った。色鮮やかな直径約2メートルのテーブルサンゴを目にして「宜野湾にこんなにきれいなサンゴがあることに驚いた。きれいな海を守りたい」と話した。

宜野湾市の海に潜った後、談笑する参加者ら

 市から事業委託を受ける宜野湾マリン支援センターの佐藤太一センター長(35)は「これをきっかけに沖縄の人が地元の海を守り、つないでいってほしい」と願う。事業は10月から海の動画を撮影し、仮想現実(VR)で見られるよう映像化して観光客誘致も図る。

 本部町は9月から、マリンレジャーと宿泊施設の料金を町民に補助している。町民に地元の良さを理解し、外部発信してもらうことが狙いだ。マリンレジャーは上限5千円を補助し、宿泊は75%(1人は上限1万円、2人以上は上限2万円)を助成する。

 町はHPやラジオ局FMもとぶを通して広報活動を実施。口コミでも広まり25日現在、マリンレジャーは定員の半分を超える250件以上、宿泊は282件の申し込みがある。宿泊体験者のアンケートで、ほとんどが「町内の魅力を再発見できた」と答えた。

 町内には天然のビーチや備瀬のフクギ並木など定番の観光地があるが、地元住民が訪れることは少ないという。町の担当者・阿波根みゆうさんは「多くの方に町の魅力に気付いててほしい」とさらなる事業利用を呼び掛けている。

 沖縄が誇る豊かな自然の魅力を、地元住民が再発見しPRすると説得力は増す。コロナに負けず地域を元気にするヒントは、地域にこそあるかもしれない。

(金良孝矢、喜屋武研伍)


宜野湾美ら海体験・PR事業

【内容】市民らにダイビング講習を実施し、サンゴ移植を通して体験や魅力を発信してもらう。海を撮影・映像化し観光客誘致を図る
【期間】8月から12月ごろ
【対象】18歳以上の市内在住や在勤、在学者(応募終了)
【事業費】1499万3千円


もとぶ再発見魅力発信事業

【内容】町内宿泊施設の宿泊料を75%補助(1人の場合は上限1万円、2人以上の場合は上限2万円)。マリンレジャー体験は1人につき上限5千円を補助
【期間】9月1日から11月30日まで
【対象】町民
【事業費】宿泊体験は1千万円。マリンレジャー体験は250万円