沖縄県の再生医療拠点、再び事業化へ 豊見城市で3度否決 新たな振興計画で


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沖縄県議会

 県が豊見城市与根の市有地に建設を検討していた細胞培養加工施設に関する議案が市議会で3度否決され、当面事業を断念せざるを得なくなった件で、県は28日、2022年度からの新たな沖縄振興計画期間中に再度事業化を目指すことを明らかにした。嘉数登商工労働部長は「新たな振計で整備することを視野に入れ、改めて建設地の選定、施設の内容の検討を行いたい」と述べた。

 開会中の県議会一般質問で島袋大氏(沖縄・自民)への答弁。

 県は一括交付金を活用して、再生医療産業の拠点となる細胞培養加工施設を市与根へ建設することを目指していた。予定地はサッカー場として使用されており、施設建設のためには体育施設の管理に関する市条例を廃止して更地にすることが必要だった。

 市は3月と6月、7月の議会で条例廃止議案を提出したが、市議会で山川仁市長と対立する保守系会派が「説明が十分ではない」などと反対した。予算執行の関係で土地の売買期限は7月末だったため、事業は当面断念せざるを得なくなった。

 同事業について島袋氏は、市が県担当者も交えて市議らに初めて説明したのが7月15日だったことを問題視した。

 島袋氏は「市側がしっかりとした手順を踏んでいなかった。市は(議案可決を)お願いしていながら、汗をかかなかった。(結果的に事業化断念となり)地元の県会議員として県に対して大変申し訳なく思っている」と述べた。