自分の性「らしさ」とは LGBTQ記録映画で理解深める ピンクドット、沖縄市で上映会


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
映画「ぼくが性別『ゼロ』に戻るとき」を観賞後、常井美幸監督とオンラインで意見交換する参加者ら=19日、沖縄市与儀のオキナワグランメールリゾート

 【沖縄】一般社団法人「ピンクドット沖縄」(高倉直久代表理事)は19日、沖縄市与儀のオキナワグランメールリゾートで、自身の性別に揺れる若者を15歳から9年間、追い続けたドキュメンタリー映画「ぼくが性別『ゼロ』に戻るとき」の上映会を開いた。15人が参加し、観賞後には常井(とこい)美幸監督とオンラインで意見交換。LGBTQなど性的マイノリティーへの理解を深め、性別の意味や「自分らしさ」について考えた。

 映画の主人公・小林空雅(たかまさ)さんは女性として生まれたが、自身の性別に違和感を持ち続けていた。13歳で性同一性障がいと診断された。20歳で性別適合手術を受け、戸籍も男性に変更した。「うれしい」と笑顔を見せていた小林さんは、男性にも女性にも当てはまらないと自認する「Xジェンダー」の人らと出会い、自身の性を見つめ直していく。

 エンディングでは「性別がない、が今(自分には)しっくりくる。男、女に属せず生きていく」。常井監督が「今の自分は好きですか?」と問い掛けると、「好きです」と笑顔で答えた。

 上映後の意見交換で、ゲイの男性は「同性愛者(という自身の属性)から逃げ回っていた」と振り返り、「映画を見て心が癒やされた」と話した。心と身体の性が異なるトランスジェンダーの出席者は「(メディアでは)分かりやすい語りが多くて、かえって一緒に生きていくことを邪魔しているのではないか。分かりにくい映画で良かった」と感想を語った。

 常井監督は小林さんの現状について「仕事の選択肢は少なく、自分で食べていくだけのものは得られていない。どういう仕組みが必要なのか、考えないといけない」と指摘。その上で「意見や経験をシェアすることがまずは大切だ」と話した。
 (真崎裕史通信員)