那覇港の県民意識調査に抗議 浦添・那覇市「事前説明ない」


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 那覇港の港湾計画改定に向け那覇港管理組合が実施中の県民意識調査について、組合構成団体の那覇、浦添の両市が組合に対し、事前に調査内容を説明せずに調査を始めたなどして、それぞれが抗議文を送っていたことが29日の県議会9月定例会で明らかになった。新垣淑豊氏(沖縄・自民)の一般質問に対し、組合管理者を務める玉城デニー知事が認めた。

 抗議文はいずれも市長名で(1)事前の説明がなく調査を始めた(2)事前に議論がなかった図案が見直し案として調査で示された―などと訴えている。

 現在、県と両市、組合の課長クラスの職員でつくる「浦添ふ頭地区調整検討会議」が、浦添ふ頭地区の港湾計画案について議論している。意識調査では見直し案として、物流の拠点となる「物流関連ゾーン」が南側に集約されたイメージ図が示され、「物流関連ゾーンにかかる礁池(イノー)部分の面積は可能な限り小さくした」などと説明されている。

 見直し案に関し組合側は「調査で使う案の最終的な図面を県や両市に示したのは(調査開始前日の)25日だが、検討会議では南側に集約する案も含め、さまざまな案が出ている」と説明している。

 だが那覇市側は「検討会議でもゾーニングの議論はしたが、意識調査で示されたイメージ図について具体的な議論はしていない」と不快感を示す。浦添市側も「15日に調査の概要について説明を受けたが、最終的な説明は受けていないまま、調査実施前日の夕方にメールで知らされた。話が違う」などと主張する。

 県議会では野党が抗議文を問題視した。自民県議から「抗議が出ている調査なのにやめないのか」などと質問が相次いだが、玉城知事は「丁寧に説明し調査は続けていきたい」などと応じた。浦添ふ頭地区は米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の移設先とされているが、意識調査で那覇軍港に関する設問はない。