【識者談話】教員の特支免許非保持 国全体で制度・政策的な改善を 韓昌完下関市立大副学長


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韓昌完氏(下関市立大副学長)

 全国的には、特別支援学級を担当する教員の「特別支援学校教諭免許状(特支免許状)」の保有率は小中学校で30・8%。残る約70%の教員が自分の専門性に不安を感じながら日々、子どもたちに対応している。うち沖縄の保有率も30~40%で推移している。

 文部科学省は特別支援学級を担当する場合、特支免許状を取得することが望ましいとしている。現行の法律上、免許状は視覚、聴覚、知的、肢体不自由、病弱(身体虚弱を含む)の5領域の障がい種しかカバーしていない。

 通常の学級・特別支援学級において増加傾向にある自閉症スペクトラム障がい(ASD)など、情緒的なニーズに対応する免許はなく、それに対応できる教員の養成が難しい。

 特別教育を担当する教員は、長期休暇中に開かれる免許法認定講習や放送大学等の通信講座を受講する。忙しい中、専門性を高めようと特支免許状を取得している。

 特支学級担当の教員が児童生徒の特性などについて理解できないまま担当すると、児童生徒を傷つける言動のケースも見られる。

 国全体で制度・政策的な改善が必要だ。学校現場では校内研修などを通してニーズのある子どもたちを理解するなどの取り組みを増やす必要がある。
 (特別支援教育)