「判決は明るい光になる」 生業訴訟の勝訴に沖縄県内原告も安堵


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 「思いが伝わってうれしい」「明るい光になる」。東京電力福島第1原発事故の被災者による「生業(なりわい)訴訟」で、国と東電の責任を認めた30日の仙台高裁判決。新型コロナウイルスの影響で集会を自粛し、それぞれの場所で結果を見守った沖縄県内の原告からは、安堵(あんど)と喜びの声が上がった。

 仙台高裁前で「勝訴」の旗が掲げられる様子を、オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」で見た沖縄支部長の久保田美奈穂さん(41)。「一審判決の時と同じぐらいどきどきした。思いが伝わってうれしい」と声を弾ませた。

 子ども2人を連れ、茨城県水戸市から避難して9年以上がたつ。今も「事故は昨日のことのような感覚」だ。県内の原告は約60人。支部長を務め「つらい。逃げたい」と思うこともあった。それでも「今の判決が前例になる。子どもたちに何か残したい」と奮闘してきた。

 一審では賠償が認められた久保田さんだが、今回の高裁判決では一転して認められなかった。「個人的には悔しさがある」としつつも「みんなで闘ってきた結果だ。全体的に見ると良い判決なので、折り合いをつけられる」と前向きに語った。

 福島県白河市から那覇市に避難した原告の伊藤路子さん(72)は「心が折れそうな日々が続いたが、みんなで手をつないでやってきた。判決は明るい光になる」と喜んだ。