コロナ後を見据え3両化 浦添延長「伸びしろ大きい」 沖縄都市モノレール・美里社長


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コロナ禍でのモノレールの乗車状況を語る美里義雅社長=16日、那覇市の沖縄都市モノレール

 沖縄都市モノレール(ゆいレール)の浦添延長区間で運行が始まってから、1日で1年となった。首里城火災や新型コロナウイルス感染症などで乗客数は大きく落ち込んでいる。美里義雅社長に現状と今後の見通しなどを聞いた。

 ―1年間の乗客数の推移は。

 「延長開始直後の昨年10月は、約5千人の乗客数増加効果があり過去最高の1日平均6万2千人以上だった。その後は首里城火災や新型コロナウイルス感染症の影響で現在まで利用低迷が続いている。8月の1日平均乗客数は約2万3600人だった」

 ―延長による交通結節点機能の評価は。

 「てだこ浦西駅のパーク&ライド駐車場は、現状で400台の契約があると聞いている。駅周辺の道路整備はまだ十分ではなく、大手路線バスの乗り入れも未定という現状だが、今後インフラ整備が進み、沖縄自動車道とつながる幸地インターチェンジの利用が始まれば伸びしろは大きい。将来的には期待が持てる」

 ―感染症の経営への影響は。

 「人の移動の制限がこれほど経済に影響を与えるのかと身をもって感じている。まだ半期の時点なので言及できないが、延長や、車両、人員の増加で固定費が増えている分、痛手も大きいのは確かだ。この状態が続けば年間の乗客数が半減しかねない」

 ―損益分岐点は。

 「1日の乗客数で言うと5万4千人くらいだ。固定費が増えているので、今の状況が続くと厳しい」

 ―回復の見通しは。

 「コロナ以前の状況に戻るには少し時間がかかると考えている。国内客は昨今、近場観光の傾向が強く、県内の通勤客も在宅勤務が増えていて、感染拡大期には自家用車の利用も多くなった。いろいろな要素があるので、戻るまでには期間を要すると思う」

 ―輸送力増強のために車両を3両化する計画だが、影響は生じているのか。

 「3両化の目標に変更はない。2023年から可能な限り運行開始する。県民生活や経済活動の正常化に伴う乗客数の回復、第2滑走路利用開始による観光客増加は確実にあると思うので、しっかり推進していきたい。楽観的だが、3両化の時期には感染症も収束して正常な経済活動に戻っていると思う。3両化を進めていかないと、経済が回復した時に間に合わなくなってしまう」
 (聞き手 沖田有吾)