那覇軍港移設がネックに…「オール沖縄」まだ擁立できず 浦添市長選まで3カ月


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 来年2月7日の浦添市長選投開票まで7日で3カ月となった。これまで現職の松本哲治市長(53)が3期目を目指し、出馬を表明している。一方、玉城デニー知事を支持する「オール沖縄」勢力はまだ対抗馬を擁立できていない。最大の争点となる米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設の是非について県政与党内で意見が割れていることがネックになっている。「オール沖縄」勢力は「できるだけ急いで候補者を決めたい」(県政与党幹部)としている。

那覇軍港(資料写真)

タイムリミット

 前回2016年の市長選で、「オール沖縄」勢力が松本氏の対抗馬として又吉健太郎氏の擁立を決定したのは10月19日。その時と比べ、大幅にスケジュールが遅れている。

 組織作りや選挙事務所の選定など、選挙本番に向けてやるべきことは山積みだ。現職の知名度に対抗するためにも、早めに対抗馬の名前を出して有権者に浸透を図る必要がある。市政野党の市議は「(候補者選定の)タイムリミットが迫っている」と焦りを隠さない。

 「オール沖縄」勢力はことし9月から人選について協議を開始している。ただ軍港移設の是非については意見が割れている。

 県政与党の浦添市選出県議3人のうち、移設反対は西銘純恵氏=共産=と当山勝利氏=社大=の2人で、無所属で県議会議長の赤嶺昇氏は容認の立場だ。そのため、人選も共産と社大、社民の3政党を中心に進めており、赤嶺氏は静観する構えだ。

 人選を進める県政与党は軍港移設「反対」を公約の柱に掲げ選挙戦に臨む構えだが、玉城知事が軍港移設「容認」の立場を示す中、与党内には市長選の中で「『オール沖縄』という言葉は使うべきではない」との声も漏れ聞こえる。

自公、全面支援へ

 一方、松本氏は9月17日の市議会定例会で出馬を表明した。10月7日に行われた後援会主催の激励会でも重ねて3期目への意欲を示した。松本氏を支持する自民党県連は松本氏が8月に軍港の代替施設を北側に配置する案の受け入れを表明したことで「全面支援できる環境が整った」とする。

 選対本部の幹部には公明も加わる予定で、政府与党が全面支援する態勢に向け準備を進める。自民県連幹部の一人は「北側受け入れによって懸念材料がなくなった」と語った。

(吉田健一、荒井良平)