保護カンムリワシ放鳥 「ククル」、大本小児童見守る 石垣、骨折から回復


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
カンムリワシの姿に目を輝かせる大本小の児童ら=9月29日、石垣市新川

 【石垣】石垣市新川の旧県道79号での交通事故のけがから回復した国の特別天然記念物カンムリワシが9月29日、保護された場所近くの野生に返された。野生に戻るのは7カ月ぶり。市立大本小学校の児童が「ククル」と名付けたメスの若鳥は、ゆっくりと自然に戻っていった。 

 環境省石垣自然保護官事務所によると、ククルが保護されたのは2月25日。交通事故に遭い右翼を骨折するなどしていた。リハビリを重ね、野生復帰が可能な状態まで回復した。

 29日の放鳥には、野鳥観察会やカンムリワシ保全への取り組みを行っている大本小の児童も参加。初めて間近に見るカンムリワシの姿に目を輝かせた。

 担当者が手放したククルだが、なかなか翼を広げようとはせず、歩いたり、茂みに身を隠したりしながら、ゆっくりと自然に返った。

 放鳥後、大本小の児童が話し合い、ククルと名付けた。「心という意味で、優しく育ってほしいから」との思いを込めたという。

 同小6年の当銘航羽(こう)さん(11)は「こんなに近くで(カンムリワシを)見たことない。迫力があって格好良かった」と興奮気味に話し「事故が起きないようにスピードを落として運転してもらえたら、カンムリワシにとっても人間にとっても良いことだと思う」と話した。

 自然保護官事務所によると、今年(9月28日現在)の石垣島におけるカンムリワシの交通事故数は4件で、うち2件は死亡事故。ここ10年では年間6~12件の事故が発生している。

 カンムリワシの個体数は石垣島と西表島でそれぞれ100羽程度と推測されている。