<深掘り>金城徹氏の立民公認意向にオール沖縄「不協和音」も 衆院沖縄4区


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衆院選沖縄4区からの立候補を表明する政治団体「新しい風・にぬふぁぶし」共同代表の金城徹氏(右から2人目)=3日、那覇市垣花町

 「オール沖縄」勢力で唯一、次期衆院選の候補者が不在だった沖縄4区の候補者が決まり、県内4選挙区の対決構図が固まった。「保守中道」の立場での立候補を表明した金城徹氏は立憲民主党公認を視野に調整を進めているが、県内の旧立民県連と旧国民民主県連との合併の協議は遅々として進んでおらず、選挙態勢の構築に課題も抱える。県政与党内には従来通りの「無所属」での立候補を求める声も根強く、「オール沖縄」候補に向けて解決すべき問題は多い。

 3日の記者会見で金城氏は、無所属か党公認のどちらで立候補するかを問われ、「今決まっているのは『オール沖縄』の立場から出馬することだ。政党に所属するかなどについては今後の調整の中で決まる」と述べるにとどめた。

 ただ、立民関係者によると、すでに党本部内でも金城氏の意向は共有され、話し合いも始まっている。一方で、立民内には選考委員会のこれまでの議論を念頭に「立民外しとも言える議論があったにもかかわらず、候補が決まった瞬間に立民に入りたいというのは虫がよすぎるのではないか」との批判もある。

 立憲民主と国民民主による合併で生まれた新・立憲民主には、県内から沖縄3区選出で旧国民の屋良朝博衆院議員が合流した。ただ、県内にはいまだ県連組織は置かれていない。両県連の複数の関係者によると、県連代表ら役員構成などで意見の対立が続いているという。

 旧国民県連代表の清水磨男氏は「急いで合流して分裂しては元も子もない。大きな塊に向けて協議を進めており、慌てる必要はない」と語る。これに対し、旧立民県連から「次期衆院選が近いと言われる中、早めに選挙態勢の基盤である県連をつくる必要がある」との声もあり、合流を巡り温度差もみられる。

 また、選考委員会は一度、平良識子那覇市議擁立でほぼ決まったが、本人が「那覇市議に専念したい」として固辞したため、金城氏に決まった経緯がある。那覇市関係者によると、今期限りでの引退の意向を示している久高将光副市長の後任として市職員OBなど複数の人物が挙がり、平良氏も後継候補の一人として浮上している。

 県政与党内には、選考過程で浮上した平良氏が選挙区内の南風原町出身のこともあり、引き続き4区に推す声もくすぶる。

(吉田健一)