「困難重なった」玉城知事就任2年、問われる危機管理 首里城、豚熱、コロナ…


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玉城デニー知事

 4日で発足2年を迎えた玉城県政のこの1年は、昨年10月の首里城火災にはじまり、豚熱(CSF)発生、新型コロナウイルスの感染拡大と、次々と大きな課題に直面し、危機管理能力が問われた。今後も新型コロナの流行再燃が懸念される中、感染拡大を抑え、経済社会活動を回復させていく手腕が注視される。玉城知事は新型コロナにより「県民の生活や経済に計り知れない影響が生じ、立て直すにはそれなりの時間を要する」との認識を示している。

 玉城知事は2日の記者会見で「沖縄にとって困難な時期が重なった」とこの1年を振り返った。首里城火災の一報は出張先の韓国で聞き、翌朝沖縄に戻り、首里城に直行した。11月1日には首里城火災対策等本部会議を設置。現在は再発防止委員会で再発防止策を検討し、首里城復興推進本部で再建に向けた基本計画の策定に取り組むが、警察、消防の調査結果でも火災の原因は特定されていない。

 今年1月に本島中部で発生した豚熱(CSF)を巡る対応では、関係機関の協力で防疫措置に当たった。3月末までに7例が発生し、10農場で約1万2千頭の豚を殺処分。7月に沖縄本島の全199戸で感染防止の初回ワクチン接種を終えた。被害を受けた農家の経営再建が今後の課題だ。

 新型コロナでは、7月以降の急速な感染拡大で県独自の緊急事態宣言を出した。

 クラスター(感染者集団)の発生が相次ぎ、人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数は1カ月余り全国最多が続いた。現在も水際対策や医療体制の課題を抱え、経済回復の道筋はまだ見えていない。