<玉城県政2年>医師不足の中でコロナ対応 識者「頑張ったが7、8月は減点」


この記事を書いた人 Avatar photo 嶋野 雅明
玉城デニー知事

 玉城デニー知事の就任から4日で2年を迎えた。医療分野についてを識者の指摘を通して点検する。

 人口10万人あたりの医師数は、南部医療圏以外の圏域で全国平均を下回り、北部と離島地域は特に医師不足が深刻だ。県は今年7月、12市町村などと北部基幹病院の基本的枠組みの合意書に調印した。公立北部医療センター整備協議会として、基本構想の策定に向けて協議を進めているが、早期整備とともに、経営と不採算医療の維持や医師確保の実効性も問われる。

 県内男性の平均寿命は全国平均を下回り、全国との差は拡大傾向。アルコール性肝疾患や心疾患、糖尿病などの死亡率が悪化の一途をたどる。新型コロナ対策では、約60人体制の「総括情報部」を県庁内に設置。日々、感染状況の分析や病床確保、クラスター(感染者集団)対応などに当たる。
 

徳田安春医師

 ■「PCR検査検査拡充を」(群星沖縄臨床研修センター長)徳田安春氏

 新型コロナウイルス感染症は、米軍基地での感染爆発や県外からの移入拡大という沖縄の特殊事情が感染拡大の要因となった。知事は対策を頑張ったが、抑え込みには成功しておらず、九州と比べても感染者数が多い。経済を回すためには、感染を抑え込むことをむしろ目標にしてほしい。

 7、8月の対応は、減点せざるを得ない。感染者が増えてきた時に「検査を絞る」とし、県民に不安を与えたが、感染を抑え込むためには検査を拡充させる方針が必要だ。今では厚労省もその方針で事務連絡を出しているが、地方自治体が追いついていない。米軍が徹底的に検査して封じ込めに成功していることも逆に見習うべきではないか。病院、介護施設などで定期的な検査が必要だ。リーダーシップを発揮し、各部署に指示を出してほしい。民間医療機関への赤字補塡(ほてん)なども充実させてほしい。

 北部基幹病院は、道筋もできつつある。翁長雄志前知事のつくったものを壊さずに大事に育てたという意味では評価できる。

 健康関連では、平均寿命順位の没落に危機感を持ってほしい。男性の寿命は全国平均より低く、喫煙、飲酒、運動不足、肉食など不健康な生活習慣が原因であり、健康政策を打ち出すべき段階だ。SDGsには健康も入っている。具体的な政策の実践も必要だ。