粗暴犯摘発487人の半数が飲酒 沖縄県内1~8月 43人増 DV、虐待も多く


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 2020年1月~8月末までに沖縄県警が摘発した、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待などを含む粗暴犯の摘発者は前年より43人増加の487人だった。粗暴犯の摘発者のうち、約半数にあたる240人が事件当時、飲酒していた。専門家は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、これまで職場や繁華街など家庭の外で発生していた飲酒トラブルが、家庭内に持ち込まれているケースも考えられる」と分析する。

 凶悪犯や窃盗犯などを含む刑法犯全体の摘発者は1734人で、前年同期比で121人減少し、過去5年で最少となった。県警が独自にまとめる刑法犯の摘発者に占める飲酒者の割合は約25%で、前年の約26%と比べ横ばいだった。

 県警によると、20年1月~8月末までの刑法犯の認知件数は3960件で、前年同期比で346件減少した。一方でDVや虐待などを含む粗暴犯の認知件数は同31件増の527件となり、犯種別で唯一、増加に転じた。児童虐待受理件数は1051件で前年の683件から368件増加した。DV事案の相談件数は723件で前年を4件上回った。DVや虐待事案の多くで摘発者が飲酒していたケースが多いという。

 県警生活安全企画課の仲本貴管理官は「犯罪総数の減少要因の一つに新型コロナの影響が考えられるが、残念ながら飲酒絡みの粗暴犯は増加した」と指摘する。県内で起きる犯罪の多くは飲酒が起因しているといい「過度の飲酒で社会から孤立し、再犯に関わる人も少なくない」と強調する。

 県警は過度な飲酒を抑え事件・事故の抑制を図る目的で、「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」に適正飲酒の促進を盛り込んだ、改定案の作成を急いでいる。
 沖縄弁護士会いのちみつめる委員会委員長の安里学弁護士は「飲酒時には感情をコントロールする力が低下し、判断能力が鈍るということを自覚する必要がある」と語る。新型コロナの影響で近親者や家庭内のトラブルは増加傾向にあるという。「一度、トラブルに発展すると当人だけの問題ではなく、自殺などの社会問題になりかねない。当人の責任だけにとどめず、家族や周囲が一緒に適正飲酒に取り組む環境作りが必要だ」と話した。

 (高辻浩之)