真和志高校に「学びの教室」 来年4月に設置 知的障がいのある生徒が対象


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県立真和志高校

 沖縄県教育庁県立学校教育課は5日、中重度の知的障がいのある生徒を対象とした「学びの教室(仮称)」の正式名称を「ゆい教室」とし、県立真和志高校に県内で初めて設置することを明らかにした。同日の県議会文教厚生委員会(末松文信委員長)で、瀬長美佐雄氏(共産)と比嘉京子氏(沖縄・平和)の質問に答えた。2021年4月の開設を予定する。同課は7月の県教育委員会会議で同教室の設置方針を示していた。

 真和志高校は生徒や教職員に多様性を認め合う雰囲気があり、単位制で授業を選択する柔軟な教育課程を取り入れていることから、ゆい教室の設置を決めたという。生徒は入学後、真和志高校に通学するが、在籍は県立島尻特別支援学校となる。教員も特別支援学校から派遣される。障がいの程度に応じて複数人を配置する予定。

 同課は10月上旬に、各中学校に「県立真和志高校ゆい教室」の募集要項を送付する。希望者は11月末までに真和志高校で志願前相談を受ける。志願前相談は入学後の支援内容や事前の調整事項を確認する。12月に入学定員を決定し、3月3、4日の県立高校入試と同日程で生徒の特性を見る面接などを行い、合格者を発表する。入学定員は特別支援学校の設置基準に基づいて最大8人。

 同課は真和志高校で検証を行いながら、学校長や有識者などを交えた検証委員会を開き、ゆい教室の制度化に向けた取り組みの成果や課題を議論する。検証期間は3~5年。

「学びの教室」制度拡充を要望 県教委に仲村さん両親

 知的障がいがあり、普通高校入学を目指している仲村伊織さん(17)の両親は5日までに、県立高校で知的障がい者向けに設置される「学びの教室」(仮称)の制度拡充などを求める要望書を県教育委員会と県議会に提出した。

 県教委への要望は8項目あり、学籍がほかの生徒とは違って特別支援高校になっていることについての調査研究、設置高校の充実、人権意識を育てる研修や学習機会の確保などを要望した。当該生徒が「部外者」として孤立することを懸念し、「本人や周りの教師、生徒が一緒にいることに対して違和感を持たないための取り組み」を求めている。