アーケード、市場の成り立ち学ぶ 市場中央通り再整備へゼミ開講 周辺地理や防災も


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スライドを映し出しながら市場の歴史を解説する外間政明さん(手前)=9月25日、那覇市の市場中央通り

 那覇市の市場中央通り第1アーケードを再整備する「市場中央通り第1アーケード協議会」(佐和田清昌会長)は9月25日、「マチグヮーアーケードゼミ」と名付けた勉強会を始めた。再整備する上で関係者や市民が中心商店街の成り立ちやアーケードについて学ぶことが目的。同通りで開かれた第1回ゼミでは那覇市歴史博物館の学芸員・外間政明さんが那覇の市場の歴史などについて解説した。

 外間さんは写真を見せながら、アーケードが設置される前はござや布などで通りの上が覆われていたことを紹介した。「1960年代までは戦前のように売り手が強かった。(覆いは)客が天候に左右されず買い物できるようにというより商品管理を重視していた」と分析した。現在のアーケードは70年代以降、大型スーパーのダイエーの出店に伴い、客足を確保するために整備された。「売り手の意識がお客さん目線に変化した」と指摘した。

 外間さんは、戦前の那覇の中心的な市場が「大市(うふまち)」と呼ばれていたことも紹介した。「今回も知恵を出し合い『やっぱり那覇の大市だ』と言われるような街に生まれ変わってほしい」と期待を寄せた。

 市場中央通り第1アーケードは、第一牧志公設市場と水上店舗の壁に直接取り付けられていた。ゼミではガーブ川中央商店街組合長の大城盛仁さん(82)も話を振られ「私が許可もなく公設市場の壁にビスを打って、アーケードを造った張本人だ」と明かした。「行政から何度も注意を受けたが、アーケードのおかげで何とか客足を食い止めることができた」と振り返った。

 市場中央通り第1アーケード協議会副会長で、第一牧志公設市場組合長の粟国智光さん(45)は「公設市場と周辺の商店街は運命共同体だ。これから難しい場面にぶつかると思うが(公設市場もアーケードも)再整備できると信じている」と力を込めた。

 ゼミは今後、松尾・牧志周辺の地理・歴史や商店街の防災体制などをテーマに開催する予定。次回は12月11日。アーケード協議会のブログなどで広報する。