首里で勇壮な獅子舞 繁栄祈願や厄払い


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勇壮な奉納演舞を披露する汀良町獅子舞保存会青年部=3日、那覇市首里汀良町の汀良町自治ふれあい館

◆汀良町 YouTubeで演舞配信

 那覇市首里汀良町の獅子舞保存会は3日、汀良町自治ふれあい館で十五夜獅子舞の奉納演舞を行った。地域の安全と繁栄を祈願し、例年、旧暦8月15日に近い土曜日に行っている。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため住民らの前での演舞は中止し、無観客の奉納演舞と、感染対策をしながらの集落内のまちまーいを行った。同日夜から動画投稿サイト「ユーチューブ」の「首里汀良町獅子舞保存会」チャンネルで演舞映像の公開を始めた。

 汀良町の獅子舞は那覇市の民俗無形文化財に指定されている。獅子舞保存会青年部(親泊朋輝部長)は「500年以上前から続く伝統行事を絶やさないように」と、日々練習を続けている。今年は観客の前で演舞を披露できなかったが、「雰囲気だけでも伝えたい」と事前に演舞を撮影し、ユーチューブで公開している。

 汀良町獅子舞保存会会長で、汀良町自治会長の照屋和男さん(74)は「今年の十五夜獅子舞は青年部の熱い思いがあったからこそ披露することができた。伝統文化を継承していく使命感が地域に根付いていることを誇りに思う」と語った。
 (山上順子通信員)


◆末吉町 26年ぶり修繕
 

橋の上で舞い、厄払いをする獅子=1日、那覇市首里末吉町(ジャン松元撮影)

 那覇市首里末吉町自治会と末吉町獅子舞保存会は旧暦8月15日の1日、十五夜御願と道ジュネーを行った。例年は十五夜祭も盛大に開催しているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のために祭りは中止し、神事のみ行った。26年ぶりに修繕された獅子が勇壮に舞い、厄払いをした。

 末吉町の獅子舞は約250年の伝統があるとされ、那覇市の無形民俗文化財に指定されている。獅子の修繕は昨年11月から今年4月にかけて行われた。

 1日は公民館で獅子を拝んだ後、ノロ殿内に移動して獅子に魂を入れ、奉納演舞を行った。道ジュネーでは集落に出入りする四つの橋で舞った。

 獅子舞保存会会長で自治会長の仲村忠さん(65)は「修繕した獅子を祭りで披露するはずだった。中止になり寂しいが、新たな気持ちで厄払いできた。伝統を守りながら地域の絆を大切にしていきたい」と話した。

 娘の瑚子(ここ)ちゃん(2)と道ジュネーを見ていた比嘉夕貴さん(38)は「魔よけのために、獅子に娘をかんでもらおうと思ったけど泣いてしまった」と笑い「来年は祭りも開催できたらいい」と話した。