那覇市役所前のヘイト街宣「把握している」 沖縄県が認識示す 県議会4常任委員会


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 県議会9月定例会は5日、総務企画、経済労働、文教厚生、土木環境の4常任委員会を開いた。土木環境委員会は、那覇港の港湾計画改定に向け県民への意識調査を実施した、那覇港管理組合の幹部を同委員会に参考人招致することを決めた。

 

<文教厚生>ヘイト規制の先行事例など情報収集

 県議会文教厚生委員会(末松文信委員長)は5日、ヘイトスピーチ規制条例制定に関する陳情などを審議した。県女性力・平和推進課の榊原千夏課長は、県が把握しているヘイトスピーチの事例について問われ、「那覇市役所前などでの事案を把握している」と述べた。中国への差別や憎悪をあおりかねない約6年間にわたる那覇市役所前での街宣活動について、県として初めてヘイトスピーチとの認識を示した。  榊原課長は、ヘイトスピーチ規制条例制定への取り組み状況について「先行する他県の事例について情報を収集している」と説明。他県の条例は、地域の課題を踏まえた条例になっていることから「どのような条例が県の実態に望ましいのか検討しているところだ」と説明した。  条例制定のスケジュールについては「憲法の(21条で定められた)表現の自由との兼ね合いという課題がある。具体的なスケジュールを示すことが難しい」と述べるにとどめた。  同委員会は6日も行われ、保健医療部関係などの審議や、議案の採決、陳情の採択が行われる。

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<土木環境>那覇港意識調査の参考人招致へ 港湾組合幹部2人

 県議会土木環境委員会(瑞慶覧功委員長)は、那覇港の港湾計画改定に向けて那覇港管理組合が実施した県民への意識調査を巡り、同組合の幹部を参考人として招致することを賛成多数で決めた。野党の自民会派が意識調査の中断に至った経緯と現状、今後の展開について議論する必要があるとして参考人の招致を求めていた。

 参考人招致は全会一致で決定するのが通例だが、今回は賛成6人、反対5人の賛成多数だった。自民の4人のほか、金城勉氏(公明)、新垣光栄氏(おきなわ)が賛成した。県政与党議員の多くは、那覇港管理組合で臨時議会を予定し、組合管理者の玉城デニー知事から報告を求めているとして「県議会での参考人招致はなじまない」と反対した。

 参考人には那覇港管理組合の田原武文常勤副管理者と松島良成参事監兼企画建設部長を招く。今定例会後に日程を調整する。

 沖縄市池原に不法投棄されたごみ山の問題については、廃棄物処理免許の取り消しを受けて「倉敷環境」が設立した後継会社「倉敷」が、15年をかけてごみ山を解消するという計画に対し、松田了環境部長は新会社と地元自治会などが計画に関する確認書を交わすよう働き掛ける考えを示した。

 松田部長は「15年計画をどう皆で確認していくかという中で、新会社も加わることができないか、県から働き掛けていきたい」と述べ、関係者が覚書を交わすために仲介をしたい意向を示した。

参考人招致を賛成多数で可決する委員ら=5日、県土木環境委員会

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 <経済労働>県内酪農家への経済補てん急ぐ

 経済労働委員会(西銘啓史郎委員長)は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う県内酪農家への経済的補塡(ほてん)に関する陳情などを審議した。  補填額の支給時期について問われた久保田一史畜産課長は「早急に対応できるよう急ぎ進めているところだ」と述べるにとどめた。

 学校休校で発生した大量の余剰牛乳に対して県内の事業者らは、加工乳に混入する対応を取っているが、生乳と加工乳では価格に差があるため、差額を補填するよう県酪農農業協同組合が3月に要請していた。  また需要喚起のために、県内の小中学校の給食に県産和牛を提供している事業者数については、本島地域が5事業者、宮古地域で4事業者、八重山地域で3事業者だと報告した。

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<総務企画>米軍私用車の課税 県試算は9億円 実績は6億円マイナス

 総務企画委員会(又吉清義委員長)では、喜友名潤県税務課長が、県内の米軍構成員などの私有車に標準税率で課税すると、本年度の場合、県の試算では税額が9億6500万円となることを明らかにした。実際の税額は3億275万円で差は6億6225万円だった。渡久地修氏(共産)への答弁。

 県によると、課税対象車は2万4394台だった。日米地位協定を受けて県条例では、米軍の「構成員等」への自動車税は普通乗用車で、総排気量が4・5リットル以下の車は年額1万9千円、総排気量が4・5リットルを超す車は年額2万2千円となっている。  なお標準税率だと、昨年10月1日以降に初回新規登録された総排気量4~4・5リットルの自家用車の税額は7万5500円。

 ほかにも高校の専攻科に通う生徒に奨学給付金を支給する際、任意で生徒の家庭の課税証明書など必要書類を公的機関がマイナンバーを利用して取得できるようにするため、県条例の一部を改正する条例案を全会一致で可決した。県によると、県内の専攻科は沖縄水産高のみに設置されている。