【北谷】北谷町議会の9月定例会最終日の9月25日、同町の社会福祉法人温和会や絆保育園が新設道路の運用見直しを求め提出していた請願が、一部採択(賛成9反対7)された。新設道路は、北谷町が建設を進める町吉原の防災拠点につながる道路で、道路に近い絆保育園は交通量の増加などを危険視していた。請願は保育園周辺のキッズゾーンの設定は認められたものの、供用開始前の一部車両の交通規制などは認められなかった。保育園側は「子どもの命に関わることなのに私たちの願いはほとんど通らなかったと感じている」と話している。
北谷町が進める防災拠点施設は、県道24号と栄口団地方面への2方向につながる道路が新設される。栄口側に隣接する絆保育園側は供用開始前にゲートを設置し、緊急車両を除く一般車両の通行禁止を求めていた。
町は防災拠点施設に設置予定の消防署や給食センターの車両の多くが、主に県道24号側を使用するとして、栄口側は「相当の交通量の増加は見込めない」との見解を示した。
■開通前は例なし
県警は今後の交通量調査などで規制の可能性はあるとの見方を示した上で「現段階では事前規制の必要性は感じない」と答えた。
さらに県警は道路管理者(今回のケースでは北谷町)から意見を聞き、道路開通後の危険が予想される場合には、管理者の権限で事前規制を行う例はあると説明。ただし、相当の交通量が見込まれる国道などの幹線道路の場合が多く、市町村道路ではほとんど例がないという。
野国昌春町長は、事前説明会がなかったことなどに対し「説明の不足は承知している。地域の要望も聞き、供用開始前の安全対策に十分力を入れていきたい」と語った。
■640人出入り
温和会の阿嘉よね子理事長は「キッズゾーンの設定は当然のことだ。この道路がそもそも危険な道路であるということが何よりの問題だ」と指摘する。
絆保育園によると、送迎や支援センターの通園など毎日約640人が出入りする状況の上、ガードレールはなく、開通予定の道路前はこどもたちの散歩コースにもなっている。
政府は2019年5月に滋賀県大津市で散歩中の児童が車にはねられ死傷した事故を踏まえ、同年11月、保育園施設周辺の「キッズゾーン」の整備を促す通知を全国に出した。
キッズゾーンは小学校周辺のスクールゾーンと同様、時間帯で車の通行を制限する。
県子育て支援課によると7日現在、県内ではキッズゾーンを設定している市町村はまだないという。
町は現在、各保育施設などに聞き取りを進めている段階だが、具体的な設定の見通しは立っていない。園が求める「安全な環境」の取り組みの一つとして、早急な整備が望まれる。
(新垣若菜)