沖縄県内の景気 初の「底ばい」 コロナ禍が中小事業者を直撃 7~9月 海邦総研調べ


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 海邦総研(新崎勝彦社長)は7日、7~9月期の県内景気動向調査結果を発表した。前期(4~6月)と比較した景況判断BSIはマイナス7・3の「下降」超だった。前期のマイナス68・2から縮小したが、非常に厳しい経済環境が続いているとして、景気判断は初の「底ばい」とした。10~12月期はマイナス2・6を見込んでいる。

 資本金別の景況BSIは、資本金1千万円未満がマイナス6・3、1千万円以上5千万円未満がマイナス10・2と「下降」超だったのに対し、5千万円以上1億円未満はプラス4・5、1億円以上はプラス2・4の「上昇」超となった。体力の弱い中小、小規模事業者ほどコロナ禍の影響を大きく受けている。

 業種別では前回調査でともにマイナス100を記録した旅行・宿泊業はマイナス7・0、飲食サービス業はマイナス21・4となり、下げ幅は縮小した。

 6月から7月にかけて観光客が徐々に戻ったが、県独自の緊急事態宣言が発令されたため8月は大幅に悪化した。宿泊施設は価格競争で単価が下落傾向にある。業績の厳しい観光関連企業の中には、不動産などの資産を売却する動きも現れているという。

 9業種の中で唯一、卸売・小売業だけがプラス4・7と「上昇」超となった。ただ、需要の回復傾向が見られるのは、「巣ごもり需要」などコロナ禍特有の事情に合致した商品やサービスが多く、限られた範囲だという。

 建設業はマイナス12・3。「感染症拡大前の受注残があり、影響が出るのは来期以降」という声が多かったが、一部ではマンションやホテルの着工延期、中止や請負単価の低下が起きているとの声が出ている。

 全業種の従業員数BSIは、前期の「過剰気味」超から「不足気味」超に転じた。しかし旅行・宿泊業、飲食サービス業で引き続き過剰感が強く表れている。