古典芸能初のグッドデザイン賞 琉球伝統芸能デザイン研究室・山内氏に聞く


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「グッドデザイン賞」を受賞した琉球伝統芸能デザイン研究室の山内昌也代表理事=1日、那覇市泉崎の琉球新報社

 琉球伝統芸能デザイン研究室(山内昌也代表理事)が、古典芸能の分野で初めて2020年度グッドデザイン賞を受けた。主催団体が1日、受賞を発表した。同研究室は昨年4月に、琉球王朝時代の高貴な「うとぅいむち(おもてなし)」をよみがえらせることを理念に掲げ設立された。県立芸大音楽学部の琉球芸能専攻琉球古典音楽コースで教授として古典芸能の実技と理論の探求に取り組みながら、研究室の活動を通して古典芸能の価値を県内外に再認識させた山内に、同研究室のコンセプトや今後の活動について聞いた。 (聞き手 藤村謙吾)

 ―受賞の決め手は何か。

 「研究室を立ち上げた当初から、グッドデザイン賞は念頭にあった。無形の取り組みでも、名称に恥じないような格好のよい取り組みであれば、賞を取れると思っていた。歌三線一人、舞踊一人の小編成で、小空間で演じるという琉球伝統芸能の表現はこれまでなかったものだと思う。その演出も含めて審査対象になったのではないか」

 ―デザイン研究室の公演の魅力は何か。

 「大劇場のフル編成の舞台とは違う、小編成、小空間ならではの味わいがあるのではと思う。音楽では弱音がダイレクトに聞こえ、舞踊では紅型の色や、房指輪の音、それこそ和室が舞台なので、畳をすり足で歩く音などを五感で感じられる」

 ―今後の活動では何を心掛けているか。

 「SDGsの理念を大切にしたい。例えば従来のスタイルでは男性が歌うことが多いが、次世代に向けて、女性の三線奏者の活躍の場もデザイン研究室では担っていきたい。また、プロフェッショナルを集めて、昔の踊奉行のようなものをもう一度完成させられればと思う。雅楽の演者が宮内庁の職員であるように、琉球伝統芸能の担い手が県の職員となり、県独自の迎賓の場などを手掛ける。芸大をはじめ、間口を広げて人材育成に取り組んでいきたい」

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 同研究室の受賞記念公演が17日、那覇市の「美榮」で開かれる。問い合わせは同研究室ryu―design.or.jp