【識者談話】高江ヘリ炎上で不起訴 被害者は国民、軍事優先の地位協定改定を


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 今回の処分は公務中に発生した米軍の事件事故の、根源的な問題点を改めて浮き彫りにした。日米地位協定は「公務中」というだけで第1次裁判権を米国に与えている。しかし、公務中といえども被害者は日本国民だ。真相を解明し、加害者の罪を問いて処罰するためには、第1次裁判権と捜査権を日本が持つべきだ。

 公務中という理由で第1次裁判権を米国に与えている今の地位協定は、軍事優先の思想の下で作られたものであり、時代遅れと言える。国民の人権保障を優先させる視点を持ち、抜本的に改正すべきだ。

 また、国民主権の視点から問題なのが、米軍の特権的な基地管理権だ。日本側の捜査権は著しく制限されている状態で、事件事故の原因を解明する上で大きな壁となっている。この特権的な権利を大幅に制限しない限り、十分な捜査ができず、今後も同様の問題が繰り返されるだろう。新たな被害が発生する前に、根源的な問題を解消するよう、日米両政府に粘り強く訴えていく必要がある。