琉球新報社 高校野球の第70回県秋季大会第10日は10日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで準決勝を行い、沖縄尚学が2年連続15度目、具志川商が春夏秋通じて同校初の決勝進出を決めた。両チームは九州大会（31日～11月6日、長崎県）の出場権を手にした。序盤は与勝の投手に苦戦した沖縄尚学だったが、五回に打者14人の猛攻で一挙10得点。自慢の堅守で反撃のすきを与えず10―0で五回コールド勝ちした。具志川商は好投手を擁する興南から初回に3点を挙げ、猛追を振り切り、3―2で接戦を制した。
沖縄尚学
００００１０｜１
００００００｜０
与勝
（五回コールド）（沖）後間―前盛
（与）牧門、又吉和、山口匠―徳田
▽三塁打 知念大（沖）
▽二塁打 知念大２、下地、長濱、仲宗根皐（以上沖）
【評】序盤は変化球に苦しみ打ち上げることが多かった沖縄尚学打線だが、中盤以降はコンパクトな振りに修正。五回に一挙10得点で決めた。与勝は沖尚先発を攻略できず、2安打と打線がつながらなかった。
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＜ヒーロー＞均衡破る三塁打、猛攻呼ぶ
１回戦で2点本塁打を放った知念大河がもう一息でサイクルヒットの活躍を見せた。
序盤は、相手先発のカット系の変化球に苦しみ、3安打のみと打線は低調。だが、中盤以降「短く持ってコンパクトに打て」（比嘉公也監督）との指示にしっかり対応した。
五回は先頭の下地泰世が俊足も生かして二塁打で出ると、敵失も挟み無死一、三塁の絶好機。ここまで二塁打、左前打と一人気を吐く知念大へ回る。「内角直球に絞って振った」と狙い球を捉えて右中間を抜く2点適時三塁打。これで打線にエンジンが掛かった。
湿り気味だった序盤とは打って変わった猛攻でこの回に一挙10得点し、ゲームを決定づけた。
この日4打数4安打、4打点でチーム１の活躍を見せた知念。「今日ははたまたま。決勝は準決勝以上に厳しくなる」と殊勝に振り返ったが、逃しはしたものの、サイクルに迫るバットの好調ぶりに終始明るい表情。決勝に向けて勢い付く。
比嘉監督は打線に及第点を与えつつ「打撃が好調な知念の前後で出塁、適時打が出せない」と決勝に向けた課題とした。昨年の九州は4強入りを逃した。再び沖縄１位で臨む九州へあと１勝と迫った。
（上江洲真梨子）
後間 試合重ね成長 守備信頼、二塁踏ませず
沖縄尚学の右腕・後間翔瑚が試合ごとに成長を遂げている。この日は被安打2の無四球と好投。自慢の堅守の援護もあり、二塁を一度も踏ませなかった。走者を背負ってからの投球が課題で「（緊張から）四球を出してしまうことが多かった」。だがこの日は「打者によって間合いを見極めながらテンポ良く投げられた」とタイミングをずらしたり、変化球を織り混ぜたりで捉えさせず。決勝へ向け手応えをつかんだ。
昨年、八重山農林と対戦した秋決勝は九回2死から登板。四球に単打でピンチを招いた苦い記憶がある。「（決勝を）良い思い出に塗り替えて胸を張って九州で戦いたい」。
与勝 来夏へ成長誓う エース牧門「疲れで高めに…」
手元で微妙に変化する球で芯を外し、強力打線を打ち取っていく。与勝のエース牧門愛斗は得意球のツーシームとカットボールを武器に沖縄尚学を四回までゼロに抑えた。「球は速くないけど、変化球の切れが良かった。低めを意識した」
しかし五回、3巡目からコンパクトなスイングで合わせられ始める。2点を許して降板し、この回で一挙に決められた。「疲れで球が高めに浮いてしまい、捉えられた」と唇をかんだ。
初の九州大会出場はかなわなかったが、甲子園へつながる道が途絶えた訳ではない。視線は来夏へ。攻撃面の改善を掲げる比嘉優主将は「好機で打てる打線にしたい」と成長を誓った。
