久米島、獅子が集落の災厄・病追い払う 西原、健康願い「獅子の御願」 <各地の十五夜・中>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
恒例行事の兼城獅子舞=10月1日、久米島町兼城

 【久米島】旧暦8月15日の1日、久米島町兼城(田端智区長)の恒例行事「獅子舞」が行われた。例年夕暮れを合図に始まる獅子舞だが、今年は新型コロナウイルス拡大防止のため、時間を早めて開始した。

 カミヤー、ヌンドゥンチで奉納舞を行った後、ドラや地謡の音が鳴り響く中、「ハチャブロー」と呼ばれるワクヤー(踊り手)に先導された獅子が、集落各地で勇壮に舞い、集落の災厄や疫病を追い払った=写真。本物のような動きを見せ迫ってくる獅子の迫力に、泣き出す子どももいた。

 田端区長は「来年は多くのお客さんの前で伝統芸能である獅子舞を披露したい」と新型コロナ終息を願った。 
  (盛長容子通信員)

神獅子に手を合わせ、安全祈願をする小波津伝統芸能保存会関係者=1日、西原町小波津の獅子屋

 【西原】西原町小波津区で旧暦八月十五夜の10月1日、新型コロナウイルスの感染防止を考慮し、規模を縮小して「獅子の御願」が行われた。副会長の與那嶺勇市さん(65)と小波津政文さん(61)が、獅子屋で五穀豊穣(ほうじょう)と区民の健康祈願をした。

 続いて小波津伝統芸能保存会(糸数善昭会長)のメンバーが獅子の前で手を合わせ、泡盛で獅子頭をなで清め、獅子舞の安全祈願をし、小波津集落センター前広場で演舞した。まず、小・中学生と大人による勇壮な棒術が行われ、最後のトリで神獅子の演舞が行われた。ドラを鳴らす保存会副会長の與那嶺良二さん(62)が「月も出てきたよ」と言うと、来場者は獅子舞と月を眺めた。

 その後区内放送で「コロナウイルスをたっぴらかせー。10・9・8…点火」とカウントダウンで花火が上がると、会場にいた子どもたちから歓声が上がった。

 獅子舞で前足を演じた壮年会会長の金城司さん(50)は「壮年会が毎年盆踊りで花火をやっていたが今年は中止になったので、今日打ち上げた。邪気を払うという意味では花火も獅子舞も同じ効用がある。楽しんでもらえて良かった」と笑った。

 與那嶺勇市副会長は「コロナの影響で規模を縮小して『獅子の御願』をやった。獅子も3体あるが、神獅子だけ舞った。これで、邪気を払った。また明日から笑顔で頑張りましょう」とあいさつした。
 (小波津昭子通信員)