新過疎法、半数以上が指定外れる見通し 現在指定は18市町村 財政に打撃


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 過疎化が進む市町村に国が財政支援する過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)が2020年度で期限切れとなり、現在指定を受けている県内18市町村のうちの半数以上が、21年度から始まる予定の新法では、指定から外れる見通しであることが9日、県の試算で分かった。与党自民党は新法案で人口減少率の指定要件基準を変更する方針を示している。方針に沿えば県内の指定自治体では減少率に改善が見られるため指定外になる見込み。指定外になると、ハード事業の高率補助や診療所の運営費などに充てられてきた過疎債が使用できなくなり、自治体財政に深刻な影響を与える可能性がある。 

 沖縄の指定自治体は財政力に乏しい離島市町村が多い。また米国施政下に置かれていたため全国で唯一、同法の適用が10年遅れた特殊事情もある。県と県過疎地域振興協議会(過疎協)は、それらの事情を基に国へ指定継続を求めている。

 現在過疎法の指定を受けているのは国頭村、大宜味村、東村、本部町、伊江村、渡名喜村、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、伊平屋村、伊是名村、南大東村、北大東村、久米島町、竹富町、与那国町、多良間村、宮古島市。県は「混乱を来す」として、指定が外れる見込みの市町村名を公表していない。本紙による各市町村への取材では本部町と座間味村、南大東村、北大東村、竹富町が新法の指定から外れる見通しを持っているとした。

 県過疎協会長の宮里哲座間味村長は「(新法は)沖縄の過疎地域にとっては非常に厳しい内容になると思う。簡単ではないが、過疎協としては1市町村も外れることがないよう訴えていきたい」と述べた。

 県地域・離島課の森田賢課長は「指定要件は人口減少に重きを置いているが、財政力指数が低いところは一定の配慮が必要だと訴えないといけない。ただ過疎法は全国法なので、要請活動が難しい面もある。過疎協と連携して取り組んでいきたい」と話した。
 (梅田正覚)