沖尚・後間が完封 進化の右腕 好リードの前盛 九州V見据える 高校野球秋季大会


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 第70回県高校野球秋季大会最終日は11日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで行われ、決勝で沖縄尚学が序盤から得点を重ね8―0で具志川商に完勝した。投打がかみ合ったプレーで、主導権を握った沖尚に軍配が上がった。初優勝を目指した具志川商だったが、相手投手を攻略することができず、散発5安打と打線が沈黙した。沖尚と具志川商は県勢6年ぶりの全国選抜出場を目指し、第147回九州地区大会(31日~11月6日、長崎県)に沖縄代表として出場する。新型コロナウイルスの影響で九州大会に出場する代表校の辞退なども予想されるため、決勝前には補欠校順位戦が行われた。興南が与勝との延長十回タイブレークの接戦の末、12―11でサヨナラ勝ちした。

決勝 沖縄尚学―具志川商 完封勝利で優勝を果たし、笑顔でグラブをタッチする沖縄尚学の後間翔瑚(左)と前盛魁来のバッテリー=11日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(ジャン松元撮影)

 沖縄尚学はエースをけがで欠いて迎えた大会だったが、技巧派右腕の成長株、後間翔瑚が快進撃をけん引し、結果を残した。

 後間が投じた最後の118球目。今大会で何度も空振りを取ってきたスライダーでバットに空を切らせた。ひょうひょうと投げていた表情に笑顔が広がり右手で小さくガッツポーズ。捕手の前盛魁来(かいき)とグラブでハイタッチし「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。2日連続の完投、決勝は自身初の完封も成し遂げ自信がみなぎる。「打者ごとに力の入れ具合を調整した」と丁寧な投球を心がけ、準決勝以降は四死球なしだった。

 最速139キロの直球に決め球のスライダー、加えてカーブにチェンジアップと多彩な変化球で打者を手玉に取ってきた。エース不在の中、「自分がエース、との気持ちで投げた。九州は初の1番を背負って投げたい」と激しいポジション争いに名乗りを上げる。

 「配球も良く考えており、陰の立役者」と比嘉公也監督が太鼓判を押すように、1年生捕手の前盛の好リードも光る。後間の制球が乱れることがあっても、体を張るようにしてキャッチ。前盛は「準々決勝は捕逸で失点したので、決勝は全部前で受け止めようと思った」と笑顔。投手間競争を経て沖尚バッテリーはさらに強化されそうで、しっかりと九州の頂を見据える。
 (上江洲真梨子)


▽順位戦
興南 12―11 与勝
 (延長十回タイブレーク)

▽決勝
沖縄尚学 8―0 具志川商