【深掘り】衆院沖縄1区 自民県連支部、下地幹郎氏の復党を拒否 IRで現金受領、他党除名に難色


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 次期衆院選に向け、沖縄選挙区や比例代表の候補者を巡り、県政野党内で水面下の攻防が熱を帯びている。とりわけ焦点となっているのが自民党への復党を視野に入れる下地幹郎衆院議員(59)=無所属=の去就だ。国場幸之助衆院議員(47)が支部長を務める自民県連1区支部は10日の定例会議で、下地氏から復党願が提出されても認めない方針を確認した。下地氏は近く、後援会の意見などを踏まえ、判断する見通しだが、復党が実現するかは未知数だ。

 自民県連内には、下地氏の復党に否定的な意見が多い半面、経済界の一部からは菅義偉首相や党執行部の「決断」に期待の声も上がる。ただ党本部が強引に復党を認めれば、連立を組む公明党を含めて自公体制に亀裂が生じかねない事態となりそうだ。

 1区支部の会議には、県連最高顧問の仲井真弘多元知事も同席した。複数の出席者によると、仲井真氏は、これまでの政治家としての下地氏の行動を念頭に復党に難色を示した。

 仲井真氏は下地氏の復党を自民側に働き掛けている国場組の国場幸一会長と今年6月の県議選など各種選挙で行動を共にしているが、衆院沖縄1区の候補者調整を巡っては温度差が出ている。

 1区支部は、下地氏がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、贈賄の疑いが持たれている中国企業からの現金を受領したとして、日本維新の会から除名されたことを問題視している。

 出席者の一人は「他党を除名された人を受け入れるわけにいかない。1区支部として下地氏のこれまでの振る舞いは決して看過できない。選挙協力を結んできた公明との関係もある」と述べた。

 自民側が反発を強める中、下地氏周辺では、復党に向けたシナリオとして、次期衆院選を辞退させ、国場氏の支援に回る案が浮上している。ただ、下地氏自身は本紙の取材に沖縄1区からの出馬を明言している。

 一方で関係者の一人は「2年後の知事選を見据えた場合、あらゆる選択肢を考える必要がある。保守合同のために1区でいがみあう必要はない。仮に辞退したら下地氏には知事選や参院選などさまざまな選択肢が生まれる」と語った。
  (吉田健一)