五輪自転車ロード確実の新城、3度目の大舞台へ 「八重山勢で初」を胸に挑む


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 東京五輪の自転車ロードレース男子代表への選出が確実となった石垣市出身の新城幸也(36)(八重山高出―バーレーン・マクラーレン)は現在、欧州を主戦場にしている。世界最高峰の選手が集うトップレースで実績を積み重ねてきた。他の競技と同様、新型コロナウイルスの影響は避けられなかったが、徐々にレースが再開され、今もイタリアでの大会に参戦している。国内の競技者ではこれまで群を抜く結果を残してきており、五輪3大会連続出場を確定的とさせた。

インスタグラムで記者会見する新城幸也

 3日に開幕したイタリア伝統のジロ・ディタリア(3496・8キロ)に参戦中だ。ツール・ド・フランスに並ぶ三大大会「グランツール」の一つ。約3週間で全21ステージが実施される。第1週のレースを終え、第2週のレースに突入している。

 日本で「代表入り確実」が報じられたのは12日夜。日本時間の翌13日未明、新城はインスタグラムにライブ出演し、ジロ・ディタリアなどについて記者らの質問に答えていた。参戦中の伝統あるレースを「やりがいがある」と語り「これから引き続き頑張っていきますので、みなさんの応援よろしくお願いします」とコメントした。

 世界の名だたる選手の集う国際ロードレースチーム「バーレーン・マクラーレン」に所属している。フランスを拠点にしていたが、今春にチームから自国への帰国指示が出された。国際自転車競技連合(UCI)が3月に4月末までの大会自粛を発表したからだ。

 日本自転車競技連盟(JCF)の設定した従来の代表選考期間は2019年1月1日~20年5月31日だった。UCIの自粛要請でワールドツアーは中止。日本代表の選考期間は78日間を残してワールドツアーが止まった。

 新城は大会中断を受けて合宿地タイで力を蓄え、トレーニングを続けた。国際的な入国制限措置の緩和もあって移動が可能となり、8月のチェコツアーが再開初戦。各国の21チーム約150人が出場した中、総合35位に入った。

 JCFは大会中断以前に獲得した五輪選考ポイントを有効とし、ツアー再開日を含めた78日を追加選考期間に充て、12日までに期間を終了した。大会をA~Hまでランク分けし、レース獲得ポイントにランクの係数を乗じて計算した。

 日本は自転車男子ロードレースで、開催国枠「2」が確保されている。新城はこれまで圧倒的に優位な実績を持ち、代表争いで抜きん出ていた。さらに再開後も成果を残して、選出を確実なものとした。

 東京五輪に向けては以前「自国でメダルを取って注目してもらうまたとないチャンス。現役で活躍できる間に表彰台に登り、多くの人にロードレースを広めたい」と語っていた新城。東京でどのような走りをみせてくれるのか。

2019年の沖縄合宿の際、本島北部で練習する新城幸也(中央)=名護市内(ジャン松元撮影)

 かねてから「八重山勢初の五輪選手になりたい」との志を抱いていた新城幸也。ツール・ド・フランスや世界選手権で実績を積み、初めてオリンピックの舞台に挑んだのは2012年のロンドン大会だ。当時27歳。メダルを目標に挑んだが、結果は48位だった。

 2回目の大舞台となった16年のリオデジャネイロ五輪は、ロードレースの日本代表枠2つを内間康平(北中城高―鹿屋体育大出)と県勢で独占。同年2月にレース中の落車で左太ももを骨折し、手術する大けがを負ったが、必死のリハビリで大会に間に合わせた。

 本番では内間が風よけや先導を務めるアシストを担い、新城を支えた。結果は27位と4年前から大幅に順位を上げたが、レース後には「メダルには遠かった。悔しい」と反省し、「この悔しさを4年後にぶつける。やるべきことはいっぱいある」と既に東京五輪を見据えていた。