乳がん早期発見・治療が有効 医師「普段の状態セルフチェックを」


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 食の欧米化に伴い増え続け、日本女性がかかるがんの中で最も多いのが乳がん。乳腺専門医は早期発見による治療が有効だと強調する。がんを治すだけではなく、乳房を残したまま治療する乳房温存手術など見た目にも配慮した診療が広がっている。ただ、国民生活基礎調査に基づく2019年の乳がん検診受診率(40~69歳、過去2年)では、沖縄は全国平均(47・4%)をわずかに上回ったものの、48・3%にとどまっている。

 国立がん研究センターが3月に公表したデータによると、乳がんの10年生存率はステージ1で97・6%、ステージ2で87・4%、ステージ3で61・9%、ステージ4で18・3%だった。進行に伴い徐々に低下し、他の臓器に転移した場合だと生存率は低くなる。

 宮良クリニックの宮良球一郎医師は「乳がんはほかのがんに比べて一般に進行が遅く、約1センチの大きさになるのに約6年かかるといわれている。この段階で手術を受ければその後、10年の生存率は9割以上になる」と話し、検診による早期発見の重要性を強調する。

 検診には、市町村が実施する検診(40歳以上)と、人間ドック、職場を介しての「職域検診」がある。市町村では、2年に1回の乳房エックス線検査(マンモグラフィー)を実施している。マンモはしこりになる前の「石灰化」という段階でがんを検出するのが強みで、40歳以上では検診によるがん死亡率の低減効果が確認されている。だが、乳腺組織もがんも白く写るため、30代以下をはじめ乳腺組織が濃い人ではがんを見つけにくいなどの弱点があるという。

 宮良医師は「まずは自分の乳房の中身を知ることが重要だ。マンモがいいのか、エコー(乳腺超音波)検査がいいのか、それとも併用か。マンモをまず受け、自分の乳腺密度を知ることは非常に大事で、次にエコーを受けるかの判断にもなる。見つけにくい人は、専門施設で検査するのがいい」と強調する。

 検査に加え、自分の乳房を鏡に写して見たり手で触ったりして、普段の状態を把握しておくセルフチェックも必要だ。乳首からの分泌液やへこみ、しこりや普段と違う自覚症状があれば医療機関に受診してほしいとしている。