那覇港湾施設の早期移転 賛成「経済発展に」 反対「自然残して」 沖縄県議会決議・意見書


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那覇軍港の早期移設などを求める意見書を賛成多数で可決した9月定例会最終本会議=13日、県議会

 沖縄県議会は13日、9月定例会の最終本会議で那覇港湾施設(那覇軍港)の早期移設と浦添市西海岸計画の早期実現を求める決議・意見書を賛成多数で可決した。賛成討論と反対討論、決議・意見書は次の通り。

照屋守之氏

賛成・照屋守之氏(自民) 経済発展へ夢と希望を

 時間がかかりすぎている基地の返還を、政治の力で早期に実現したい。基地は経済発展の阻害要因だと言われる。早めに基地を返還させ、新たな展望をつくっていくのが我々の務めだ。

 那覇市民、そして県民は那覇軍港の返還を待ち望んでいる。県全体の経済の発展につながり、県民あるいは経済界に夢と希望を与える。観光を含めて厳しい経済状況だ。打破するために日米で合意された条件付きの全面返還を実現する必要がある。

 移設先の浦添市は西海岸開発やキャンプ・キンザー返還後の街づくりに期待している。那覇軍港の移設は那覇港湾内の移設と県も位置付けており、多くの県民から理解が得られると考えている。返還合意から46年が経過した今、県民の期待に応えるには、一日も早く那覇軍港を返還できる取り組みが求められている。
 

西銘純恵氏

反対・西銘純恵氏(共産) 無条件返還し自然残して

 浦添西海岸は沖縄本島中南部地域で唯一自然が残されたサンゴ礁の生物多様性の豊かな海だ。観光産業や沖縄経済の振興発展のために残していかなければならない貴重な財産ではないか。政府が米国の言いなりになって戦争のための米軍基地を造ることは容認できない。

 遊休化している那覇軍港は無条件で返すのが当たり前ではないか。日米地位協定に基づいて政府は米国政府に返還を要求すべきだ。返還合意から46年経過しても実現していないのは、県内移設条件が付いているからだ。県民の中には那覇軍港は移設と切り離して返せという声も広がっている。

 県民の人権や尊厳が脅かされる治外法権の基地になる。子どもや孫に残すのは、基地がなく平和で自然豊かな、経済発展する沖縄ではないか。米軍基地の犠牲と負担、過酷な苦難を押し付ける那覇軍港の浦添市移設に断固反対する。

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那覇港湾施設の移転促進 意見書・決議

 那覇港湾施設は1974年、移設を条件に全面返還が合意され、95年の日米合同委員会で同施設の移設に関する基本方針が示された。2003年に国と関係自治体で構成する協議会は、現有施設の機能確保を目的として、那覇港長期整備構想案に基づき民間港湾計画との整合を図る観点から沖縄側で代替施設の存在を前提とした改訂港湾計画案の取りまとめを確認した。

 今年8月に知事と那覇、浦添市長の会談で、松本哲治浦添市長が那覇港湾施設の移設先を浦添ふ頭地区内の北側に配置する案に同意した。移設計画は大きく前進することが期待される。

 移設後の跡地利用と移設先の浦添ふ頭の港湾整備、浦添市西海岸開発、キャンプ・キンザーの跡地利用は、今後の沖縄振興発展に大きく寄与することが期待される。那覇港湾施設の移設と浦添市西海岸開発計画を一体的かつ速やかに実行するよう要請する。