過疎新法、沖縄県内の9市町村が除外 現在の半数に 琉球新報試算


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 過疎化が進む市町村に国が財政支援する過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)の新法制定に伴い、現在指定を受けている沖縄県内18市町村のうち9市町村が指定から外れる可能性があることが14日、琉球新報の試算で分かった。除外される可能性があるのは、宮古島市や本部町、伊江村、渡嘉敷村、座間味村、南大東村、北大東村、竹富町、与那国町。新法による適用は2021年度から始まる予定だ。新法案は与党自民党を中心に年内にも固まる見通しで、指定の可否は流動的な要素が残る。

 過疎法では人口減少率と財政力指数などの要件を満たせば過疎地域に指定される。本紙は過疎新法で変更される見通しの基準年を基に18市町村の人口減少率を試算した。沖縄は人口が増加する傾向にあり、現在指定されている自治体の減少率に改善が見られるため、新法では指定を外される自治体が多くなるとみられる。

 現在過疎法の指定を受けているのは、国頭村、大宜味村、東村、本部町、伊江村、渡名喜村、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、伊平屋村、伊是名村、南大東村、北大東村、久米島町、竹富町、与那国町、多良間村、宮古島市。

 過疎地域に指定されると地方交付税で元利償還の7割を手当てできる過疎債の発行などができる。県内過疎市町村の多くが人口減少率の改善が見られる一方、財政力指数の基準(0.5)に達する市町村はない。離島自治体が多いのも特徴だ。財政力に乏しいまま指定除外を受けると、自治体財政に深刻な影響を与える可能性がある。

 県は18市町村のうち「半数以上が指定から外れる見通しだ」として試算結果を該当自治体に伝えているが、市町村名は公表していない。本紙は試算する際に必要な「高齢者比率」と「若年者比率」の基データについては便宜上、直近2017年の法改正時の基準値を活用した。 (梅田正覚)