南城市のガンガラーの谷に響く名曲 ピアニスト横山さんが自然洞窟でライブ


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ショパンやベートーベンの名曲を聴かせるピアニストの横山幸雄 =10日、南城市のガンガラーの谷

 日本を代表するピアニスト横山幸雄=東京都出身=が出演するライブ「Breezing Hall Classic 横山幸雄」(沖縄テレビ主催)が10日、南城市のガンガラーの谷で開かれた。自然洞窟の幻想的な空間の中で、世界で活躍する横山が作品の解説を織り交ぜながら、ベートーベンとショパンの名曲7曲を優美に響かせ観客からの拍手喝采に包まれた。

 ベートーベン生誕250周年にちなみ、前半はピアノソナタ14番「月光」、17番「テンペスト」を演奏した。「月光」では一音一音の響きの余韻を残しながら、深い祈りを感じさせ、高速に奏でる卓越した演奏技術で圧倒した。低音の響きの美しさにも引きつけられた。演奏から暗闇の中に差す強い光をほうふつとさせた。

 「テンペスト」はドラマチックな展開が魅力的な作品で、軽快さと駆け抜けるような激しいメロディーで聴かせた。消え入りそうな繊細なピアノの音色とともに、洞窟に滴るしずくの音が聞こえ、屋外コンサートの特別感を味わえた。

 後半はショパン「バラード第1番ト短調 作品23」をはじめ、「スケルツォ第2番変ロ短調 作品31」などショパン作品5曲を演奏した。

 横山は、ポーランド政府からショパンの作品に対して顕著な芸術活動を行った100人の芸術家に贈られる「ショパン・パスポート」が授与されたほか、「ショパン・ピアノ・ソロ全212曲コンサート」で18時間におよぶ全曲暗譜演奏の偉業を成し遂げ、自らが持つギネス世界記録を更新している。

 「ポロネーズ第6番変イ長調作品53“英雄”」で締めくくり、「なるべく早く戻って来られるようにしたいと思います」と笑顔であいさつ。アンコールに「アベ・マリア ~バッハ=グノーの主題による即興~」で応えた。(田中芳)