激戦糧にのし上がる 平安山陽(大宮中-松山聖陵高)(4)< 期待の星 >


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
愛媛県夏季大会で松山聖陵を優勝に導いた、平安山陽=8月、同県の坊っちゃんスタジアム(愛媛新聞社提供)

 プロのスカウト陣を「切れで勝負する投手」と言わしめたスライダーは、高校での努力のたまものだ。松山聖陵で2年秋からエースを背負った平安山陽は、中学は無名の投手だった。憧れの甲子園を夢に、単身愛媛県に渡り、投手専門で腕を磨いた2年半。今では最速146キロの直球に決め球のスライダー、スプリット、チェンジアップと多彩な球種を操り、三振の山を築き上げてきた。松山商や今治西などの甲子園常連校との激戦、敗戦を糧に「やれば自分だってできる」と生来の負けん気の強さでのし上がってきた。

 8月に阪神甲子園球場で行われたプロ志望高校生合同練習会は「自分の決め球のスライダーで三振が取れて自信になった」と打者6人を被安打1の3三振、四死球無しで仕留め手応えもあった。プロ入りを目指す全国トップ級の高校生猛者たちが集まる中、のびのびと思うような投球ができたようだ。一方、課題も明確だ。「まだ抜ける球もあって(変化球の)精度を上げないと」。理想の投球を実現するには、まだまだ乗り越えるべき壁は多い。

 高校最後の夏季大会を優勝という有終の美で飾り、後輩との練習に参加する日々が続く。課題の制球力や変化球の切れの向上に「もう一段上のレベルを目指すために、バランスを意識した投球、フォームを研究しています」と淡々と語る。

 ドラフト会議を前に、取材に応じた平安山は「緊張やどきどきの方が大きい」と日が近づくにつれ緊張は高まっているという。「プロに行って、一軍で通用する選手になりたい」。言葉少なに語る中にも熱い闘志をのぞかせる。17歳の運命はドラフト会議に託された。

(上江洲真梨子)

 

平安山陽

 へんざん・よう 2003年1月30日生まれ、名護市出身。177センチ、80キロ。右投げ右打ち。大宮小―大宮中―松山聖陵高。小学1年から野球を始め宮里ブレーブスで活躍。最速146キロの直球とスライダーを武器に2019年からエースを背負う。