【記者解説】社民県連が立民合流を決めた背景は? 波乱含みの展開続く


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国会議事堂

 社民党県連が立憲民主党への合流に賛成する方針を固めたのは、政権交代に向けて野党勢力の結集が必要と判断したことに加えて、社民党を取り巻く厳しい環境がある。

 沖縄では政党支持率で社民が野党第一党の位置にあり、県内政局の勢力図を大きく塗り替える再編の動きとなる。党内でも一定の影響力を持つ沖縄県連が合流賛成の立場を鮮明にしたことで、全国の都道府県連の意思決定に影響を及ぼす可能性もある。

 一方、社民党執行部では、合流の是非を巡り推進派と慎重派が拮抗(きっこう)している。7人の役員のうち、推進派は照屋寛徳衆院議員や吉田忠智幹事長ら4人で、福島瑞穂党首ら3人は慎重姿勢を崩していない。11月14日の党大会次第で分裂の可能性もあり、波乱含みの展開が続いている。

 現在、社民党の国会議員は衆参合わせて4人にとどまる。さらに、このうち選挙区での当選は衆院沖縄2区の照屋氏だけであり、国政選挙のたびに存続が危ぶまれてきた。

 昨年7月の参院選では比例代表の得票率が2%を超えたため公選法上の政党要件を何とか維持できたが、獲得は1議席にとどまった。

 こうした情勢を踏まえ、17日の社民党県連の執行委員会では、合流は「やむなし」との意見が大勢を占めた。県連幹部の1人は「新基地建設を強行する菅政権に対抗する勢力を結集することが重要だ。立憲主義、社会民主主義の理念を実践し、大同団結する中で政権交代を果たしたい」と述べ、自民1強に対抗する国政野党の結集を促す。

 一方で、合流賛成の方針は全会一致にはならなかった。護憲政党としての独自性を重視して合流に慎重な意見は県連内でも一部にあり、党全体の議論と並行して県内の支持者を含めた調整が続きそうだ。

 (吉田健一)