名護聖人の「六諭の心」広めたい 「琉球いろは歌」DVDに 沖縄市の比嘉さん


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋野 雅明
「琉球いろは歌」のDVDと挿入原画の見本を手にする比嘉典子さん=沖縄市山内、自営の店舗「ともぶん」

 【沖縄】人としての心構えを琉歌に載せて説いた程順則(ていじゅんそく)(1663~1734)の「琉球いろは歌」。その教えに深く魅了されてDVDを制作、普及活動に取り組んでいる女性がいる。沖縄市山内に住む比嘉典子さん(77)で、5月以降これまで50枚余を周辺の自治会、老人会、福祉機関や友人・知人らにも無料配布し喜ばれている。

 「名護聖人」とも尊称される程順則は、琉球王朝で初めて学校(明倫堂)を設立するなど、特に教育を広めることに尽力した。中国から持ち帰った「六諭衍義(りくゆえんぎ)」は江戸幕府に献上され、日本最初の道徳書として普及した。

 同書は善行、礼儀、和睦、教育などの徳目を通して人としての大切な行いや、心の在り方を説いている。程はその内容を理解しやすいように琉歌に詠み、それをいろは順に編集したのが「琉球いろは歌」。

 もともと琉歌に親しんでいた比嘉さんは20年前、その普及活動の話題を本紙の記事で知り、すっかりとりこになった。以来、黄金言葉満載の「いろは歌」の教えを学んできた。

 「琉球いろは歌」は数多くの解説読本が出版されているが、比嘉さんは視覚に訴えることがより効果的ではないかと考え、今年に入りDVDの制作を思い立ったという。「いろは歌」を自身で書写し、また絵手紙講師の技量を生かして花や果物、野菜を鮮やかに47枚作画して挿入。さらに沖縄わらべ歌の効果音を入れて約8分間のDVDに仕上げた。

 比嘉さんは「気軽に繰り返し視聴できるので、楽しみながらいろは歌を覚えてほしい。沖縄にこんなに素晴らしい偉人がいたこと、そして六諭の心がより多くの人たちに広まるのを願っている」と言葉を弾ませた。

 問い合わせ(電話)098(932)2404(比嘉)。
 (岸本健通信員)