赤土対策に自然由来の吸水素材 サトウキビ絞りかすなど活用 恩納村で実証実験


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ナラヤン・ガルジャールさん(右から2番目)と恩納村や農家の関係者ら=19日

 【恩納】農地の赤土流出防止に向け、恩納村とインド出身の起業家ナラヤン・ガルジャールさん(22)が共同で、農作物の残さから作った自然由来の「エコフレンドリーポリマー」を活用した実証実験に取り組んでいる。自然由来のポリマーは吸水力が高く、畑の土に混ぜることで保水力が増し、赤土が流れにくくなることが期待されるという。

 ポリマーは、インドでガルジャールさんが創設した会社「EF Polymer」が農業の水不足対策のため開発した。同社は有機液体肥料も開発、液体肥料とポリマーを組み合わせることで土壌が改善され、赤土流出防止の効果が高まるという。

水分を吸収し、ジェル状になったエコフレンドリーポリマー

 ポリマーはサトウキビや柑橘(かんきつ)類の皮の搾りかすが原料で1グラムで80ミリリットルの水分を吸収することができる。パウダー状で、土壌に混ぜると保水効果が約6カ月続き、その後は分解されて土に戻るため、環境にも優しい。

 実証実験では主にポリマーの保水力を利用し、赤土対策や干ばつ時の水不足への効果を調べるほか、有機液体肥料も組み合わせ、土壌改善や作物の成長への効果を調べる。

 ガルジャールさんは、インドの干ばつが深刻な地域で育った。「農業の水不足解消に役立つ開発がしたい」との思いが、研究のきっかけだという。研究は昨年、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の企業支援事業に採択され、会社を設立。今年8月から恩納村と赤土対策の実証実験を始めた。

 沖縄の赤土流出について、ガルジャールさんは「化学肥料を多く使うことで土がやせてしまっていることも影響しているのではないか」と指摘。「ポリマーによる保水効果だけでなく、有機肥料で土壌を肥沃(ひよく)にすれば、赤土流出改善にもなるはずだ」と語った。