浦添西海岸を「夢の未来都市」に 建築士の福村さん 埋め立てない開発を提言


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作成した模型を前に「浦添西海岸を夢の都市に」と語る福村俊治さん=浦添市内の事務所

 【浦添】「浦添西海岸の埋め立てを最小限にとどめ、天然ビーチを生かした夢の未来都市に」―。米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設を巡り、県、那覇市、浦添市が代替施設の北側配置案に事実上合意したことで、ビーチがあるサンエー浦添西海岸パルコシティ前の海が埋め立てられることが決定的となった。浦添市に事務所を構える1級建築士、福村俊治さん(67)は2025年度以降に返還される牧港補給地区(キャンプ・キンザー)跡地利用と合わせ、西海岸の持続可能な開発を提案し、模型を作成した。「軍港がビーチの目の前にできれば、この土地の価値は半減する。軍港よりも美しいビーチの方が経済効果がある。残して目玉にするべきだ」と提案する。

 福村さんは滋賀県出身。1991年に沖縄に移り住み、県平和祈念資料館の設計や大田昌秀知事時代に「国際都市形成構想」の策定などに携わった。「西海岸開発は海を生かした街づくりをすれば自然と一体となった夢の未来型都市がつくれる」。そうした思いから昨年10月から模型作りに着手し、3カ月で完成させた。

福村さんが作成した浦添西海岸、キャンプ・キンザー跡地の計画図

 民港は現在の港湾施設を再開発し、軍港は西洲の延長部に造り、近い将来に返還させて民港に移行することを提案する。ビーチの前には約1万室のホテル群や米軍の建物も利用したマンションが並ぶ。真ん中には70メートル幅の新国道58号が通る。福村さんは「約17万人が住み、働き、楽しむ街になる。イメージはブラジルのリゾート地、コパカバーナだ」と思い描く。

 軍港北側案で県など3者が一致したことには「市民に説明がされていないまま決められているのではないか」と不信感を抱く。「この模型をたくさんの人たちが見て、それぞれが『夢の街』について議論する材料にしてほしい」

 (荒井良平)