産業まつりのネット・分散開催 古波津実行委員長「県産品発信の課題、来年以降に生かす」


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インタビューに答える沖縄県工業連合会会長の古波津昇氏=16日、那覇市壷川の拓南本社

 「盛り上げよう!今こそ我らの県産品」をテーマに第44回沖縄の産業まつり(同実行委員会主催)が24、25日の両日、ポータルサイトでのオンライン開催と各地域で分散開催される。コロナ禍での開催の意義などについて古波津昇実行委員会会長に聞いた。

 ―新型コロナウイルスで各種イベントが中止となる中、今回のような形での開催を決めた理由は。

 「今年中止してしまうと、来年はどうなるのかというのを一番に考えた。新型コロナウイルスが来年には収束しているという確証はない。今年やってみることで課題が見えてくる。それを検証することで、来年以降の選択肢も増える」

 「産業まつりを継続させるためにはどうすればいいのかという視点で議論し、オンライン開催だけでは物足りないので、できるところはリアルでやるという形になった。今までは会場に来た人にしか発信できなかったが、オンラインだと日本全国、海外にも発信できる。オンラインとリアルの併用というのがこれからの産業まつりのあるべき姿ではないか」

 ―今回の見どころは。

 「リアル開催は商工会特産品フェアの『ありんくりん市』がパレットくもじ前広場で、県物産公社の『わしたショップde沖縄応援マルシェ』が県庁前県民広場で、県中小企業団体中央会はイオン那覇前広場でそれぞれ開催する。県酒造組合は各酒造所で琉球泡盛蔵巡りをする。芸人やVチューバーが出演するオンラインの配信番組も予定している」

 ―オンライン出店は伸び悩んでいる。

 「サイトに決済機能を持たせるかは今後の課題だ。中小零細企業はそもそも自前のホームページを持っておらず出店できないという例もある。物を作るだけでなく、システムやサービスを作ることも産業だという視点で、やったことがないから分からないという人たちの背中を押していきたい」

 ―新型コロナで見えてきた県産品の強みと課題は。

 「付加価値の高い食品などは強みではあるが、流通が分断されたら自分たちでは何もできない部分もあった。一方、域内循環を高めたり、個々で発信したりして、うまく流通させられたところもある。イレギュラーな事態になった時にどう対応するのかというのが見えてきた。個人でも物を発信したり、届けたりすることが簡単にできるようになり、流通改革が起きている。それに対応していくことが必要だ」
 (聞き手 玉城江梨子)