16歳當真「沖縄のモトクロス引っ張る」 飛び級でA級参戦、プロ目指す


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勢いよくスタートダッシュを決める當真弦樹(中央)=9月20日、うるま市石川東恩納のMSAモトクロスパーク(又吉康秀撮影)

 バイクで悪路を駆け抜け、迫力あるレースを展開するモトクロスで、美来工科1年の當真弦樹(16)=沖縄市=が今年3月から飛び級でアマチュア最高峰の国内A級に参戦している。高校生でのプロ入りを目指し、奮闘中だ。新型コロナウイルスの感染拡大による大会中止や渡航自粛などで出場機会を逃してきたが、25日の第9戦埼玉大会で実力を試したいと意気込んでいる。

 4歳で初めてバイクの運転を体験した。「自分で運転するのって楽しい」。バイクの魅力にとりつかれた。しばらくは父の嗣武さん(51)が運転するバイクに同乗するだけだったが、「自分で運転したい」との思いは日増しに強くなった。當真の熱意に根負けし、嗣武さんは練習場に通うことを承諾。小4から本格的に練習に励むようになった。

 その後、初めて出場した県内大会で3位と健闘し、経験者たちと肩を並べるなど、すぐに才能を開花。嗣武さんは「正直、これほど乗りこなせるとは思わなかった」と振り返る。美東中2年の2018年、ジュニアで九州モトクロス選手権シリーズに参戦し、年間ランキング7位の結果を残した。19年は実力者がひしめく関東モトクロス選手権シリーズに挑戦し、年間ランキング5位に浮上した。

A級ライセンスを取得した當真弦樹

 今年から16歳以上が取得できるアマチュアライセンスに挑戦。国内B級を飛び越え、国内A級からのスタートとなった。しかし新たなステージに挑み始めた直後の新型コロナウイルス感染拡大。3月の第1戦に出場以降、大会は相次いで中止に。県内での感染拡大の影響で県外遠征も自粛せざるを得なかった。

 一方で、自粛期間も体力強化に余念はなかった。沖縄市泡瀬の自宅から学校までの急勾配の道のりを自転車で通学し、スタミナをつけている。自宅での筋トレも取り入れた。

 目標は、高校生でプロ資格である国際A級へ昇格することだ。県内ではこれまでもプロを輩出してきたが、高校生でのプロ入りは一握り。沖縄モータースポーツ振興協会の役員を務める大城喜正さん(44)は「プロに劣らないぐらいの走りを見せる時もある」と太鼓判を押す。

 9月にうるま市石川東恩納で開催されたMSAモトクロスカップで、當真が出場したエキスパートクラスには国際A級の諸見里祐哉も参戦。レース中は2位につけ、諸見里の背中をとらえる場面もあった。機材トラブルで途中退場となるも「上位を狙える感じはつかめた。ミスを減らせるよう修正して関東での大会に臨みたい」と前を向いた。

 「バイクでご飯が食べられるようになって、沖縄のモトクロス界を引っ張っていきたい」。志を高く、実力を積み上げていく。
 (下地美夏子)