県政の追及に痛手 自民「反論の余地ない」 与党「お粗末の一言」 自民県議集団感染


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県が報道機関に提供する新型コロナウイルス感染者の資料。職業欄には「議員」が続く=23日

 先島地方では新型コロナの感染者が増え続けて、医療提供体制は逼迫(ひっぱく)しつつある。18人の県議団は主に離島のコロナ対策や自衛隊施設の視察を目的としていたが、過半数の10人が感染してしまった。陰性だったが、2週間の隔離措置を取っている沖縄・自民会派代表で自民党県連の島袋大幹事長は本紙取材に「これだけの大人数で視察に行った結果、クラスターを出してしまって申し訳ない。今後、視察で得られたことを踏まえて早めに動けるようにしたい」と述べた。

 自民は県議選以来、議会での攻防を優位に進めてきた。県議選直後の議長選では与党の中でも玉城知事に距離を置く赤嶺昇氏を電撃的に議長に担ぎ上げた。10月9日には玉城知事が管理者を務める那覇港管理組合の不手際を追及し、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)を初めて設置した。

 与党内でも賛否が分かれる米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設と同市西海岸開発計画の早期実現を求める決議・意見書も賛成多数で可決した。22日の県議会決算特別委員会では2019年度予算の総括質疑として、14年ぶりに知事の出席が決まる見通しだった。

 だがこの日、決算特別委委員長の座波一県議の感染が確認された。自民県議は全員欠席し総括質疑の動議はなかった。関係者によると、21、22日に来県していた岸信夫防衛相は自民県議と面談する予定もあったが、急きょキャンセルとなった。

 自民関係者の一人は「あり得ない。県議選以降、百条委設置や各常任委員長ポストの奪取など(攻勢は)プラスだったが、これでマイナスになった。知事の高笑いも聞こえる。反論の余地はない」とうなだれた。

 玉城知事は座波県議の感染確認を受け、22日に急きょ会見を開いて「非常に衝撃を受けたと言わざるをえない」と2度強調した。

 県議会の与党幹部の一人は「お粗末の一言」とあきれた顔を見せた。「感染の可能性は誰にでもあり、責めてはいけないが、県民の模範たるべき県議が医療提供体制がぜい弱な離島に大人数で行って感染した。同じ県議として恥ずかしい。先島でさらに広がる可能性もある」と冷ややかに述べた。

 (梅田正覚)